土屋太鳳が明かす、“声のコンプレックス”と実弟との絆

インタビュー

土屋太鳳が明かす、“声のコンプレックス”と実弟との絆

女優・土屋太鳳が、バレリーナになることを夢見る少女の姿を描く映画『フェリシーと夢のトウシューズ』(8月12日公開)で海外アニメーションの吹き替えに初挑戦した。「声にコンプレックスがあった」というだけに、「声のお仕事をいただけるのはすごくうれしい」と喜びを噛み締める彼女。声優業の素晴らしさを教えてくれた存在、そして声優として歩き始めた実弟との絆について語ってもらった。

物語の舞台は、19世紀末のパリ。施設で暮らしながら、バレリーナになることを夢見ていたフェリシーが、憧れの街・パリで夢を叶えるために奮闘する姿を描く本作。情熱と勇気を持った女の子・フェリシーの声を、土屋が溌剌と演じている。

「僕だけがいない街」で日本のTVアニメの声優は経験はあったが、「声優のお仕事はとても難しい」と胸の内を明かす彼女。しかし、同時に大きな喜びでもあるという。

「フェリシーと共感できる部分がとても多く、素晴らしい役と作品に出会えたと思いました。私は16歳くらいまで、舌足らずのようになってしまったり、すぐに声が枯れてしまったりとあまりきちんと声がでなかったんです。舌小帯の手術をしたことによって、少しずつ出るようになりましたが、声にはずっとコンプレックスがありました。だからこそ声のお仕事はうれしいし、しかもフェリシーという素敵な女の子と一緒に生きられるというのはとてもうれしかったです」。

「声優さんというのは本当に素晴らしいお仕事。実写のお芝居では手の動きや雰囲気で伝えられることもあるけれど、声優業は、声だけですべての情報を伝えなければいけない。声優さんは“声で伝える”という熱量が違うので、私にとってはとても難しいお仕事です」と声優という仕事の素晴らしさを痛感している。

それはウルトラマンゼロシリーズで共演した声優・宮野真守と関智一から受け取ったものが多いそうで、「声優さんのすごみを目の当たりにしていました。関さんからいただいた『リアルに感じない設定だとしても、自分がそこで共感すればリアルになる』という言葉も支えになっています」と話す。

さらに「声優さんたちのそういった姿を見て、弟も声優さんを目指したんです」と明かすように、弟も声優として活躍している。そんな弟について、土屋は「ベテランの声優さんは体を鳴らして声を出していますが、弟の場合はまだ声帯を鳴らして声を出してしまう部分もあるようで。アフレコが終わった後に、粘膜を使いすぎて鼻血を出してしまうこともあるみたいです」と悩み事も聞いている様子。

フェリシーとして生きる上では、踊る息遣いや重心を意識して演じるなど、体も使って精一杯、役柄に息を吹き込んだ。奇しくも弟もダンスもののアニメに出演しているが、『フェリシーと夢のトウシューズ』と弟の出演するアニメの収録が始まったのもちょうど同じ時期だったそう。「弟もとても時間をかけてやっていて。『今日は大丈夫かな、帰れるかな』と心配していました。私もアフレコをやっていたので、『頑張れ。私も頑張ろう』と思っていました」と弟の存在も励みにアフレコに臨んだ。

「『僕だけがいない街』のときも役柄の格好をしてアフレコをして、今回もフェリシーのような短パンを履いてアフレコをしました。そうしたら、弟も役柄の格好をしてやっていて。似ているなと思いました」と似た者同士の弟について、楽しそうに語っていた。【取材・文/成田おり枝】

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