“映像の魔術師”が再び不可能に挑む『デューン 砂の惑星PART2』ティモシー・シャラメ&ゼンデイヤがドゥニ・ヴィルヌーヴの真髄を語る!
その惑星を制するものが全宇宙を制すると言われる“惑星デューン”を舞台に繰り広げられる壮大な宇宙戦争。長らく“完全な映像化は不可能”と言われ続けてきたフランク・ハーバートのSF小説にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が挑み、全世界で大ヒットを記録した『DUNE/デューン 砂の惑星』(21)。その待望の第二章となる『デューン 砂の惑星PART2』が3月15日(金)より公開を迎える。
砂に覆われた過酷な惑星デューンで、敵対するハルコンネン家と宇宙帝国の皇帝の罠にはまり、長であるレト公爵(オスカー・アイザック)を失い全滅してしまったアトレイデス家。唯一生き残ったレト公爵の息子ポール(ティモシー・シャラメ)はなんとか砂漠で生き延び、砂漠の民チャニ(ゼンデイヤ)と共に立ち上がり、100年続くアトレイデス家とハルコンネン家の壮絶な戦いに終止符を打つべく最終決戦へと挑んでいく。
地元カナダ時代に手掛けた作品が国際的に高い評価を集め、『プリズナーズ』(13)でハリウッドデビューを果たしたヴィルヌーヴ監督。それから10年の間でジョゼ・サラマーゴの同名小説を映画化した『複製された男』(13)やテッド・チャンのSF小説を映画化した『メッセージ』(16)など、“映像化不可能”といわれた小説の映画化を次々と成功に導き、さらにはSF映画の金字塔『ブレードランナー』(82)の続編『ブレードランナー2049』(17)も大ヒットを記録。
そして前作『DUNE/デューン 砂の惑星』でも、その“映像の魔術師”としての手腕をいかんなく発揮。どこまでも続く砂漠の惑星という壮大な世界観と、主人公のポールをはじめとした登場人物たちの運命や絡み合う思惑の複雑さをしっかりと映画に落とし込んだ。それだけでなく、クリエイターが意図した映像と音響の品質を、劇場で変換することなく上映できる、世界初の「Filmed For IMAX」作品としても完璧な映像体験を提供。原作ファンやSFファンの期待を大きく上回ることに成功した。
そんなヴィルヌーヴ監督の映画監督としての真髄はどのようなところにあるのか。前作に引き続きポール役を演じるシャラメは「俳優として、少なくとも自分にとっては監督との関係がとても大事。ドゥニはすばらしいリーダーであり、パートナーでもあり、友人でもある」と、撮影現場でのヴィルヌーヴ監督との関係性について証言する。
現在世界中で大ヒットを記録している『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(公開中)の撮影直後に今作の撮影に入ったというシャラメ。「ドゥニは僕がポールに戻れるようサポートしてくれました。映画にかけるドゥニの熱意と、彼が優秀な製作チームと共に作りあげたこの環境に身を置くことが良いプレッシャーになった。それがポールの境遇にも重なり、僕のなかのポールを引き出すことができました」と振り返る。
一方、チャニ役のゼンデイヤも「本作のような大作では、ニュアンスや機微が失われてしまいがちですが、ドゥニはそれらを見失うことはありませんでした」と明かす。「俳優や各制作部門の責任者がクリエイティブな議論を望めば、ドゥニは常にオープンに対話に応じていた。壮大なスケールの作品においては、コラボレーションの精神こそが、人間の感情や本当の心を映す映画を作りあげる。ドゥニはとても協力的で、とても良い雰囲気を作りだしていました」。
撮影現場でキャストやスタッフと積極的に話し合い、様々な意見を尊重しながら、自らの思い描くビジョンをかたちにしていく。そのような真摯な作品づくりの姿勢が、ヴィルヌーヴ監督作品の唯一無二の世界観を作りあげているのだろう。前作以上に複雑に絡み合う人間模様と、壮大なアクションが待ち受ける今作で、ヴィルヌーヴ監督はどのような物語と映像体験を我々に届けてくれるのか。是非とも劇場の大スクリーンで、極上の2時間46分を体感してほしい。
文/久保田 和馬