アカデミー賞5部門ノミネート『関心領域』緊張感張り詰めるポスター&予告編

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アカデミー賞5部門ノミネート『関心領域』緊張感張り詰めるポスター&予告編

第76回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、第96回アカデミー賞では5部門のノミネートをはたした5月24日(金)公開の映画『関心領域』からポスターと予告編が解禁された。

本作はイギリスの作家マーティン・エイミスの同名小説を原案に『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(14)で監督を務めたジョナサン・グレイザーが10年もの歳月をかけて映画化したもの。製作は、2023年のアカデミー賞で作品賞ほか最多7部門を受賞した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(23)など多くの話題作を手がけ、近年の賞レースを席巻している映画スタジオ、A24。初お披露目となった第76回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞して以来、トロント映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、全米映画批評家協会賞など各地の映画賞を続々受賞し、第81回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)ほか3部門にノミネート、第77回英国アカデミー賞では英国作品賞、外国語映画賞、音響賞を受賞、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞、音響賞の計5部門にノミネートされている。

原題でもある「The Zone of Interest(関心領域)」とは、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランドのオシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉。映画では、アウシュビッツ強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長ルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)とその妻ヘドウィグ(ザンドラ・ヒュラー)ら家族の“穏やか”な暮らしが描かれる。

このたび解禁されたのは本作の予告編。“この映画を観たことは一生忘れないだろう”、“どんなホラー映画よりも恐ろしい”、“今世紀最も重要な映画”、”目をそらしてはいけない”と海外での映画評が警告のように並ぶ。映しだされるのは、どこにでもある穏やかな日常の風景。壁の向こうにはまるでなにもないかのように暮らす家族たち。しかし、壁一つ隔てた収容所の存在が、音、建物からあがる煙、家族が交わす視線や気配から着実に伝わってくる。終始、緊迫した様子の映像と音で構成された、目が離せない内容の予告編となっている。

あわせて解禁されたポスターは、アウシュビッツ収容所の所長とその家族が緑生い茂る広い庭で悠々と過ごす様子が描かれているが、ここはアウシュビッツ収容所の隣。本来収容所が写っているはずの壁の向こうは漆黒に塗りつぶされている。


人類史に残る悲劇“ホロコースト”に、ほかに類のないアプローチで迫った本作。世界各国の映画メディアや観客同様、衝撃的な映像を目を逸らすことなく受け止めたい。

文/スズキヒロシ

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