社会が見落とした少女、杏を河合優実が熱演『あんのこと』衝撃の予告篇
TBSドラマ「不適切にもほどがある!」で注目された女優の河合優実を主演に迎えた、入江悠監督の最新作『あんのこと』が6月7日(金)より公開される。このたび、衝撃的な本作の予告篇が解禁された。
2020年6月、新聞に掲載された「ある1人の少女の壮絶な人生を綴った記事」から着想を得て、監督と脚本を務めたのは、「SRサイタマノラッパー」シリーズや『ビジランテ』(17)などで現代社会の問題にスポットライトを当ててきた入江悠。主演の河合は、「不適切にもほどがある!」で過激な台詞やオーバーリアクションといったコメディ要素たっぷりのキャラを演じて話題沸騰中だが、本作では機能不全の家庭に生まれ、虐待の末にドラッグに溺れる少女、杏という難しい役どころに挑戦した。さらに、佐藤二朗が杏を救済しようとする刑事の多々羅を、稲垣吾郎が正義感と友情に揺れるジャーナリスト桐野を演じた。
解禁となった予告篇は、泣き叫ぶ杏を多々羅が優しく抱きかかえるシーンから始まる。「2020年、この日本で起きていた、本当のこと」、「衝撃の実話、映画化」という字幕が表すように、本作は実際の事件から着想を得ている。社会から見落とされた少女、杏は売春やドラッグに溺れ、荒んだ生活を送っていたが、ある日、人情味あふれる型破りな刑事の多々羅に補導されたことがきっかけで、少しずつ更生の道を歩み出していく。そこに、多々羅の友人でジャーナリストの桐野も加わり、杏は彼らの助けも借りながら、新たな仕事や住居を探しはじめる。彼らとの奇跡のような出逢いが、杏を確かに救おうとしていたが、ある日を境に3人はすれ違い、それぞれが救いようのない孤独と不安に直面せざるを得なくなっていく。
予告篇は、薄暗い街を所在なさげにふらつく杏の姿と、「彼女(あん)はたしかに、あなたの傍にいた」という字幕で締めくくられる。誰もが孤独と不安に苛まれた2020年の不安定な日常。非情な現実から目を背けず、あのときを正面から映し出した、令和時代の新たな傑作映画『あんのこと』をぜひスクリーンで観ていただきたい。
文/山崎伸子