国内動員は『変な家』がV3!待望の日本公開を迎えた『オッペンハイマー』に、“アカデミー賞効果”はあったのか?

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国内動員は『変な家』がV3!待望の日本公開を迎えた『オッペンハイマー』に、“アカデミー賞効果”はあったのか?

3月29日から3月31日までの全国映画動員ランキングが発表され、春休みシーズンを大いに盛り上げている『変な家』(公開中)が、引き続き絶好調をキープして3週連続でNo. 1を達成。今回はまず、『変な家』と『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(公開中)、『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』(公開中)の熾烈な三つ巴に迫るスタートを飾った『オッペンハイマー』(公開中)を大きく取り上げていきたい。

ついに公開を迎えた『オッペンハイマー』“3強”に次ぐ4位に初登場!

【写真を見る】大激戦が続く春休み興行に、3時間の長尺『オッペンハイマー』が参戦!初週末3日間の成績は?
【写真を見る】大激戦が続く春休み興行に、3時間の長尺『オッペンハイマー』が参戦!初週末3日間の成績は?[c] Universal Pictures. All Rights Reserved.

日本時間3月11日に発表された第96回アカデミー賞で、作品賞や監督賞をはじめ7部門を受賞したクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』。初日から3日間で動員23万1000人、興収3億7900万円を記録し、初登場で4位にランクインを果たした。IMAXやDolby Cinemaでの上映がやはり好調のようで、上映時間が3時間に及ぶ長尺作品であることを考えればかなりの大健闘といえるだろう。

北米をはじめとした世界各国では昨年のサマーシーズンに公開され大ヒットを記録。しかし日本では、原爆というセンシティブな題材が扱われるゆえに慎重な議論と検討が重ねられ、実に8か月遅れでの公開となった本作。結果的に“アカデミー賞受賞”という非常に大きな箔が付いたことにはなるが、それは動員、興収成績の面では吉と出たのかどうか。

“原爆の父”と呼ばれた理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描く『オッペンハイマー』
“原爆の父”と呼ばれた理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描く『オッペンハイマー』[c] Universal Pictures. All Rights Reserved.

洋画作品が本国での公開よりもかなり遅れて公開されることは、日本では決して珍しいことではない。そこにはスクリーン数の確保や宣伝面の都合など様々な理由があるわけだが、とりわけアカデミー賞の有力作品と目されている作品となれば、その授賞式前後に公開スケジュールが組まれることが多く、受賞の有無(もちろん授賞式が終わるまでわからないが)によって自動的に話題性が担保される“アカデミー賞効果”を存分に受けやすい。

過去15年のアカデミー賞受賞作の日本公開タイミングをチェックしてみると、『アルゴ』(12)だけは前年秋に公開されている例外だが、10年ほど前までは授賞式が2月下旬で日本公開が3月中旬〜4月中旬に公開されるパターンが目立っている。それらが“アカデミー賞効果”の恩恵を受けているのかといえば、比較的小規模公開の作品が多く、なんともいえないところではある。動員ランキングのトップテン入りを果たしても6位や7位。お世辞にも大ヒットとは言い難いものばかりだ。

キリアン・マーフィーとロバート・ダウニー・Jr.が本作でアカデミー賞を受賞
キリアン・マーフィーとロバート・ダウニー・Jr.が本作でアカデミー賞を受賞[c] Universal Pictures. All Rights Reserved.

それでも近年は“アカデミー賞効果”がより顕著にあらわれるようになってきた。授賞式の直後の週末に公開された『グリーンブック』(18)は初日から3日間で23万4000人を動員して初登場3位スタート。翌年の『パラサイト 半地下の家族』(19)に至っては、授賞式よりも前の1月に日本公開を迎えていたが、公開6週目を迎えた授賞式直後の週末に一気に動員ランキングの1位に浮上。そこから3週連続でトップを飾り、最終興収47億4000万円の大ヒットを記録している。


洋画の日本公開が遅いという不平不満の声は昔からあるとはいえ、近年それが目立つようになったのは、以前と比べて海外の映画情報がリアルタイムで国内に入ってくるようになったからに他ならない。同時にそのリアルタイム性によって、アカデミー賞の結果が授賞式直後の興行に直結するようになったとも考えられる。理想は本国と同タイミングで公開され、授賞式にあわせて再上映されることだが、それはなかなか難しい。そうなると、やはりアカデミー賞という“海外の映画情報”の鮮度が高いうちに公開される(されている)現状がベターなのだろう。

映画ファンから熱烈に支持されるクリストファー・ノーラン監督の新たな代表作に
映画ファンから熱烈に支持されるクリストファー・ノーラン監督の新たな代表作に[c] Universal Pictures. All Rights Reserved.

とはいえ今回の『オッペンハイマー』に関しては、先述したような極めて特殊な事情があったがための日本公開の遅さであり、少なくとも「公開されないのでは」という危惧が昨年の夏に飛び交っていた以上、無事に公開できたことに勝るものはない。前々作『ダンケルク』(17)、前作『TENET テネット』(21)と続いて初動20万人を超える動員を記録したことは、“アカデミー賞受賞”の効果以上に、ノーラン人気の高さを裏付ける結果であるといえよう。

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