「SHOGUN 将軍」西岡徳馬がいまこそ明かす名シーン秘話!切腹は家臣全員で行うはずだった?

インタビュー

「SHOGUN 将軍」西岡徳馬がいまこそ明かす名シーン秘話!切腹は家臣全員で行うはずだった?

「広松も悲しみや悔しさではなく、自分ができる最高の役割を果たせたという、ある種の喜びを持って死んでいくわけです」

プロデューサーの宮川恵理子とジャスティン・マークス
プロデューサーの宮川恵理子とジャスティン・マークス[c] 2024 Disney and its related entities

真田が目を配っていただけでなく、ジャスティン・マークスらプロデューサー陣も「日本についてすごく研究していましたよ」と称賛する西岡。そんななか、自ら脚本に修正を求めたこともあったという。それが第8話、降伏を決めた虎永に異を唱えた広松の切腹シーンだった。「脚本では、虎永が署名を拒む家臣全員に死を命じ広間が血の海になるという流れでした。でもそれはおかしいとヒロとジャスティン、宮川(恵理子プロデューサー)さんを交え話し合いをしたんです。切腹には責任をとったり無念のためなど様々な形がありますが、石堂に『虎永はもう終わり』と思い込ませるためなら、広松1人でいいと。真相を知るのは虎永と広松のみ。まさに『スティング』ですね」と西岡。その提案にマークスも納得し、脚本は書き換えられた。


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【写真を見る】射貫かれそうなまなざしも、柔らかな笑顔も変幻自在!日本を代表する名優、西岡徳馬撮影/黒羽政士 スタイリング/中川原寛  ヘアメイク/杉山裕則

切腹シーンを演じるうえで、西岡がイメージしたのは三島由紀夫の遺作となった長編小説だった。「三島さんの『豊饒の海』の最後で、本多という主人公が自分の使命を全うし切腹をするんです。そのくだりに『日輪は瞼の裏に赫奕と昇った(脳裏に日の光が輝いた、の意)』とあって、初めて読んだ時からずっと頭の中に残っていたんです。広松も悲しみや悔しさではなく、自分ができる最高の役割を果たせたという、ある種の喜びを持って死んでいくわけです」。割腹の直前、広松は虎永に「今生のお別れにございまする」というセリフを口にするが、これは修正脚本にもなかった西岡のオリジナル。マークスに「この世界ではお別れですが、あの世でお待ちしています」という意味があることを告げ、採用された。

久しぶりに真田と共演した西岡は、俳優・プロデューサーとしての真田の存在が「SHOGUN 将軍」を支えていると考える。「俳優として共演者に演技のサジェスチョンをするのは難しいが、プロデューサーという立場もあるので楽でしたと笑っていたけど、出番がなくてもずっと現場についていたので、『おまえが休む時間ないだろう』って。あのエネルギーは本当にすごかったですね。いまこのドラマは世界的に高い評価を受けていますが、よくやったという真田広之へのご褒美ですよ。まじめに頑張ったなという勲章だと思います」という西岡に、本作で印象に残っている出来事を聞くと、広松が切腹をする最終日の撮影をあげた。「ヒロと2人で、『徳さんとうとう最終日ですね』なんて話をしながらスタジオ入りしたんです。僕と彼の関係性が広松と虎永とダブったまま撮影が始まって…あんな経験はめったにないことですからね」。

取材・文/神武団四郎

西岡徳馬の「徳」は旧字体が正式表記

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