藤井道人監督「全世界どこにでもきっと青春というものがあったんだな」『青春18×2 君へと続く道』反響に感慨

藤井道人監督による初の国際プロジェクトとなる日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』の公開初日舞台挨拶が5月3日、TOHOシネマズ六本木で開催。藤井監督、シュー・グァンハン、清原果耶、道枝駿佑、黒木華が出席し、日本での公開の喜びや、撮影の思い出を語った。

グァンハンと清原がダブル主演を務める本作は、台湾で話題を呼んだジミー・ライの紀行エッセイ「青春 18×2 日本慢車流浪記」を原作に、“日本×台湾”、“18年前×現在”を舞台に紡ぐ、せつなくも美しいラブストーリー。人生につまずいたジミー(グァンハン)は、18年前に出会ったアミ(清原)との“忘れられない初恋の記憶”と“果たせなかった約束”を胸に、日本への一人旅を決意する。

グァンハンは「皆さんこんにちは、私はシュー・グァンハンです。初めて日本の映画に出ました。よろしくお願いします」と日本語で挨拶。

清原は「今日から映画が公開になるということで、昨日の晩は緊張して寝られませんでした。いまもちょっと足が震えているんですけど、こんなにもたくさんの方々にこの作品が届いたと思うとすごくうれしい」とはにかみ、「今日ここにいない台湾、日本のスタッフ、キャストの皆さんの想いも大切に持ちながら、皆さんとの時間を過ごせたらいいなと思っています」と客席に呼びかけた。

改めて日本での本作公開の心境を聞かれたグァンハンは、通訳を通して「今回は2度目の来日ですので、1回目に比べるとだいぶ緊張しなくなりました。本当に皆さんとお会いできて大変うれしいし、興奮しております」とコメント。続けて「この映画をご覧になって、気に入ってくれるともっともっとうれしい」と呼びかけた。

また、道枝は本作への出演について「僕がアジアにもっと出ていきたいという目標が固まったタイミングでお話をいただいたので、すごく勝手ながらご縁を感じています」と告白。

一方、これまでにも藤井監督作品に出演経験がある黒木は「前回大変だったものよりは、すごく自由にというか、楽しく現場にいれることができたかなと思います。藤井さんともちょっとずつ仲良くなれています(笑)」と笑った。

印象的だったシーンの話題では、グァンハンが「果耶さんをバイクに乗せて夜市をぶらぶらしに行くところ。果耶さんはなんとバイクに乗るのが初めてだと聞きました。たしかに走っている時に、非常に心配しているような様子でずっと後ろを見ていたり、自分は本当にバイクに乗っているのか、と。そこがすごく印象深かったです」と回顧。

清原は「二人乗りをしたのが初めてで、どこにつかまっていいのかも分からなくて、ちょっと遠慮して乗っていたんです、初め」と吐露。「で、1回出発したらお尻が浮くぐらい速くて、『それじゃダメだよ』ってグァンハンさんに教えてもらって、そこからは慣れて楽しんで撮影できた」と振り返った。

その後、本作の魅力を自身ではどう感じているか尋ねられた藤井監督は「自分から『この魅力はこうですよ』というより、やっぱり観てくださった観客の皆さんが感じ取ってもらいたいとは思ってはいる」とした上で、「自分がこの作品をある種観客として観ていた時に、きっと、どうしても大人になってしまうと忘れてしまうものがあって、でも『自分の人生ってこれでいいんだっけ』と思うことってすごくあるんですけれども、自分も失敗ばっかりで。ただ、そんな自分をやっぱり肯定して、それでも明日が続けばいいなと思ってくれたらいいなと」と本作に込めた想いを語る。

さらに世界での反響を受け「『全世界そういう感情を持ってくれているんだな』というのと、『全世界どこにでもきっと青春というものがあったんだな』というのを、逆に観客の皆様に気づかせてもらえた気がしました」としみじみと伝えていた。

取材・文／山田健史