中山美穂、カットがかかった後に号泣!その訳は?

インタビュー

中山美穂、カットがかかった後に号泣!その訳は?

中山美穂が『東京日和』(97)以来、12年ぶりの主演映画『サヨナライツカ』(1月23日公開)で、かれんでミステリアスなヒロイン・沓子(とうこ)役を熱演。「運命的な出会いをした作品」と語る本作の撮影で、中山は役に入り込みすぎて号泣してしまったとか!

沓子と、若きエリートビジネスマン・豊(西島秀俊)との運命の恋を描く本作。「ザ・オリエンタル バンコク」スイートルームに住む、魅惑的で自由奔放な女性・沓子を、中山はどう演じようと思ったのか?

「ミステリアスな役柄だけど、それを分かりやすく演じるのは一番ナンセンスだと思いました。沓子は感情の赴くままに行動する女性ですが、それって女性なら誰もが持っている部分でしょう? だからひとりの人間としてちゃんと演じようとしたんです。極端に言えば、自分が本当に沓子の気持ちになって揺れ動いてくれたらいいなと思って臨みました」。

エキセントリックで美ぼうと富を兼ね備えた沓子は、一見浮世離れした存在に思えるが、中山が生き生きと多角的に演じたヒロイン像を見ていると、いつしか感情移入し、報われないかもしれない豊との恋を応援したくなる。きっと中山が心から沓子に寄り添って演じたからではないか。「私自身も、沓子と同じような精神状態でいたかったんです。例えばいつ突かれても涙が出てくるような微妙な状態。ちょっと何かが起こったら叫んでしまうかもしれないという精神状態を保とうとしていました」。

中山の沓子役への入れ込みようはすごい。特に気丈な沓子が、豊の婚約者の光子と対面するシーンも女としては痛いくらいに切ない。「沓子はいつも凜としていたかったし、きっと光子が目の前に現れても余裕でいるだろうと思っていましたが、やっぱりつらくて。実は、カットがかかった後で、わんわん泣いちゃいました(笑)。沓子、かわいそうにって思って」。うーん、まさに沓子になりきっていた証拠だろう。

ミステリアスなだけではなく、真っすぐに情熱をぶつけ、自分の心に正直に愛を貫こうとする沓子は実に魅力的だ。そんな沓子役を演じきった中山の今の心境とは? 「今までよりも集中力をたくさんもって挑んだので、達成感は感じています。ここまで集中できることってあまりなかったと思うので。いい経験をさせてもらいました!」。

原作は、夫で芥川賞作家の辻仁成の同名小説だが、そこに描かれる真摯な愛の価値観を中山は見事に表現した。妻となり、母となり、ますます女性として美しさと深みを増した女優・中山美穂の底知れぬ魅力を隅々まで堪能したい。【Movie Walker/山崎伸子】

作品情報へ

関連作品