あらゆる“デスゲーム”作品に影響を与えたスティーヴン・キング「死のロングウォーク」映画化プロジェクトが一歩前進か?
“ホラーの帝王”スティーヴン・キングが1979年にリチャード・バックマン名義で発表したデスゲーム小説の傑作「死のロングウォーク」。その悲願の初映画化としてライオンズゲート製作で開発が進められている『The Long Walk』が、まもなく開催されるカンヌ国際映画祭のマーケットで海外セールスが開始されることがわかった。「Screen Daily」が独占で報じている。
原作の「死のロングウォーク」は、近未来のアメリカで毎年行われている“ロングウォーク”に参加した16歳の少年レイを主人公にした物語。この競技は14歳から16歳までの少年たち100人がカナダとの国境から国道一号線を時速4マイル以上の速度で休むことなく歩き続けるというもので、規定の速度を下回ると警告を受け、複数回警告されると射殺される。最後の1人になるまで終わることはなく、互いに励まし合いながら歩き続ける少年たちは極限状態まで追い詰められていく。
2000年に深作欣二監督によって映画化され大きな物議を醸した高見広春の小説「バトル・ロワイアル」も、刊行前の高見のインタビューによれば「死のロングウォーク」が発想の原点であると明言されているなど、映画や小説を問わず数多くのデスゲーム作品に多大な影響を与えてきた本作。これまで幾度となく映像化の企画が持ち上がり、立ち消えとなってきた歴史がある。
1980年代にはジョージ・A・ロメロが監督を務める予定だったが頓挫し、2007年には『ショーシャンクの空に』(94)など複数のキング原作作品を手掛けてきたフランク・ダラボンが映画化権を獲得するも、実現まで至らないまま権利が失効。2018年にニュー・ライン・シネマが権利を取得し、アンドレ・ウーヴレダルを監督に抜擢してプロジェクトが進められたが、それも開発中止。そして昨年秋にライオンズゲートに権利が譲渡された。
現在このプロジェクトでメガホンをとることが決まっているのは、本作と同様に理不尽なデスゲームに巻き込まれていく少年少女たちを描いたYA小説シリーズ「ハンガー・ゲーム」の映画化を『ハンガー・ゲーム2』(13)から『ハンガー・ゲーム0』(23)まで4作手掛けてきたフランシス・ローレンス監督。デスゲーム映画の名手によって、今度こそ実現までたどり着けるのか。続報が届けられることに期待したい。
文/久保田 和馬