来日したノーマン・リーダスにインタビュー!「ウォーキング・デッド」スピンオフシーズン2で「キャロルとダリルの絆の深さがわかる」
「リックとダリルの絆の強さには、アンディと僕の友情が反映されている」
ダリルといえば、男性キャラクターとのバディぶりも魅力。生存者たちを率いるリーダーのリックとは互いに強い信頼関係で結ばれていた。兄メルルには、虐待もされていたが、生死の境を彷徨った時には兄の幻影の罵詈雑言で励まされ、ウォーカーと化した兄を倒さなくてはならなかった時には、大声をあげて泣く。ダリルは、男性キャラとペアになるのが似合うのではないか。そう尋ねると、まず「ボーイフレンドってこと?」とジョークっぽく言ってから、リック役のアンドリュー・リンカーンとは特別な関係だったことを熱弁してくれた。
「リックとダリルの絆の強さには、アンディと僕の友情が反映されていると思います。撮影現場でも話すし、トレーラでも話すし、ランチでも話すし、共演シーンがない日は『今日はどうだった?』という電話がくる。一緒にドライブしたり、お互いの家にも行ったり、まるで家族のような関係なんです」。
そんな関係だったからだろう、「ウォーキング・デッド」全シーズンとスピンオフを通して、もっとも好きなシーンを尋ねると、彼が挙げたのはリックとのシーンだ。まず、シーズン4の第16話「終着駅」でのシーン。リックが息子助けるために無法者を殺したあと、リックが放心状態で地面に腰を下ろし、自動車に寄りかかっていると、ダリルがやってきて隣に腰を下ろし、自分が無法者に接近したせいだとリックに謝罪する。
「するとリックがそれを否定して、『お前は僕の兄弟だ』と言う。僕が一番好きなのは、あのシーンです」。
そして、もう一つは、リックのシリーズ出演最終話となるシーズン9の第5話「清算」。橋の上で、リックが一人で、ウォーカーの大群が集落に侵入するのを防ごうとしているシーン。
「それを見た仲間たちが全員、リックを助けようと彼のほうに走っていく。脚本ではダリルもみんなと一緒に走ることになっていたけど、僕の意見で、ダリルの行動は変更になりました。ダリルだけがそこに留まって、クロスボウで、リックに接近するウォーカーたちを倒していく。離れた場所から、リックと一緒に戦うあの場面も大好きです」。
「メリッサは最初からこのスピンオフに深く関わっている」
こうしてリックとの強い絆で結ばれているリーダスだが、もう一人、信頼し合っているのがキャロル(メリッサ・マクブライド)。スピンオフシリーズのシーズン2は、タイトルが「The Walking Dead:Book of Carol」になり、キャロルとダリルの関係がより描かれていく。
「メリッサは、最初からこのドラマに深く関わっていました。シーズン1にはあまり登場せず、シーズン2から比重が大きくなることは、最初から決まっていたんです。メリッサとも、アンディと同じような関係です。もう15年以上も、とても親しい関係だったから。シーズン2では、キャロルとダリルの絆がどんなに深いのかがわかります」。
こうして、ドラマやダリルについて、真摯に語ってくれたリーダスだが、取材後には、彼の素顔が垣間見られる場面もあった。撮影では、カメラに向かっておどけたポーズをしてカメラマンを笑わせ、それから編集者の折り畳み式スマホに目を止めて「触っていい?」と手に取って、待受画像が映画『シンプルメン』のエレナ・レーヴェンソンが踊っているシーンなのを見ると、「彼女とは共演したことがあるよ」と言い、次の取材場所に向かって移動しながらも振り向いて「そうだ、あの映画は『ハード・デイズ』だ!ブロンディのデボラ・ハリーも出演してたよ」と大声で教えてくれた。リーダス本人の素顔は、ダリルよりも、かなりお茶目で気さくなようだ。
取材・文/平沢薫