白石和彌監督&横浜聡子監督、「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」審査委員に意気込み!「参加しながら盛り上げたい」
若手映像クリエイターの登竜門として開催を重ねている「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024」の記者発表が6月7日に東京・神楽座で行われ、今年の国際コンペティションの審査委員長を務める白石和彌監督、国内コンペティションの審査委員長を務める横浜聡子監督らが出席した。
2004年に埼玉県川口市で誕生した「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)を中心にした映画祭。これまでにも『碁盤斬り』(公開中)の白石和彌監督、『浅田家!』(20)の中野量太監督、『カメラを止めるな!』(17)の上田慎一郎監督など日本映画界のトップランナーとして活躍する監督たちを多数輩出してきた。
長編作品を対象とした国際コンペティションは広く世界中から、長編部門と短編部門の2部門からなる国内コンペティションは国内から応募された若手監督の作品を厳選して上映。第21回を迎える今回のコンペティションには、102の国と地域から長編作品(60分以上)1015本、短編作品(15分以上60分未満)186本の計1201本の応募があった。そのなかから選ばれた24作品は審査会で最終審査が行われ、最優秀作品賞をはじめとする各賞が授与される。またすべての国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対して「SKIPシティアワード」が贈られる。
国際コンペティションの審査委員長を務める白石監督は、2009年に『ロストパラダイス・イン・トーキョー』でSKIPシティアワードを受賞した。「そこから僕の映画を作る人生がスタートを切ることができた。15年経って、こうやって続いていることがありがたい」と同映画祭に感謝した白石監督は、「この映画祭を通して、たくさんのクリエイターや映画ファンが生まれている。大きな意義のある、国内でも重要な映画祭だと感じています」とコメント。「がっぽりとスケジュールを空けている」と微笑み、「僕が審査する10本は最低でも、スクリーンでクリエイターの皆さん、観客の皆さんと一緒に観ようと思っている。『審査員がいるな』と思いながら観ることが、映画祭のひとつの醍醐味。よっぽどなことがない限りは、毎日SKIPシティに通って僕自身も映画祭を楽しみたい。これからもさらに続いていただけるよう、ぜひ参加しながら盛り上げたいなと思っています」と前のめりの姿勢を口にした。
国内コンペティションの審査委員長を務める横浜監督は、「大変光栄な役割。うれしく思います」としみじみ。「私は青森出身で、かつては青森にもいくつか映画祭があったのですが、いま現在はゼロ。地域で映画祭を続けることの大変さを側で見てきました」と川口市の映画祭が長く続いていることに敬意を表した。「大きな場、大きな映画祭で、若い作家の方が自分の映画を観客の皆さんに観てもらうことは、うれしいことである反面、自分では計り知れないほど多くの他者の目に触れることでもあります。時には批判や厳しい意見と向き合わなければいけないこともある。他者に観てもらうこと、自分自身が他者の作った作品を浴びるように観ることは、自分自身の感覚が研ぎ澄まされ、さらなる成長に向かっていくのではないかと思っています」と映画祭という場所の重要性について語り、「私自身も自主映画を制作していた。自主制作映画祭で見つけていただいた。その時の先輩方のありがたい言葉、厳しい言葉があってこそ、ここにいられる。審査員として、若い方々にさらなる高みに向かっていけるような力強い言葉を必死に探して伝えらえたら。自由で刺激的な作品に出会えることを、心より楽しみにしています」と意気込みを明かした。
今年のオープニングは、2020年に『写真の女』で同映画祭SKIPシティアワードを受賞した串田壮史監督の『初級演技レッスン』が飾る。串田監督は「オープニング作品として、映画祭ファン、地元の映画ファンの方が楽しめるように作っています。同時にインターナショナルな映画祭ですから、国際的な第一線で活躍している方たちが日本に来る。そういう人たちにも目覚めの一発を届けられような、刺激のある作品に仕上がっています」とオープニング作品に自信をにじませ、「もしかしたらファミリー映画かもしれません。ホラー映画かもしれません。お楽しみにしていただきたい」とメッセージを送っていた。
会見には、大野元裕(実行委員会会長/埼玉県知事)、奥ノ木信夫(実行委員会副会長/川口市長)、八木信忠(映画祭総合プロデューサー)、串田壮史(オープニング作品監督)、土川勉(映画祭ディレクター)も出席した。
「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024」は7月13日(土)~21日(日)の9日間にわたり、埼玉県川口市のSKIPシティで開催される。また7月20日(土)~24日(水)はオンライン配信も行われる。白石監督、横浜監督を招いて2人の監督作品を上映し、若手監督に向けて商業映画監督としての経験を語る特集「商業映画への道」や、映画字幕翻訳者の戸田奈津子を招いたトークイベント、夏の夜空のもと楽しむ野外上映など、あらゆる企画が用意されている。