『ねこのガーフィールド』が『フュリオサ』から首位を奪取!閑散のサマーシーズンはファミリームービーが頼みの綱に
先週末(5月31日から6月2日)の北米興収ランキングは、新たなビッグタイトルの封切りがなかったこともあって、上位10作品の合計興収は約6000万ドル、総興収は6600万ドルという約1か月ぶりの低水準に見舞われる結果となった。ちなみにこの3日間の総興収を前週のメモリアル・デー週末4日間の総興収と比較するとちょうど半減。繁忙週末の翌週に興行が落ち着くことは珍しいことではないが、どちらも元の数字がかなり低いことが気がかりでならない。
ランキングの上位争いでは、前週ともに初登場でデッドヒートを繰り広げた『ねこのガーフィールド』(8月16日日本公開)と『マッドマックス:フュリオサ』(日本公開中)の順位が逆転。前週の雪辱を晴らすように公開2週目にして首位に立った『ガーフィールド』は、前週比58.3%の3日間興収1400万ドルを記録。対して『フュリオサ』の3日間興収は1078万ドルと、前週比41%の大きなドロップ。両者の差は320万ドルほどと接戦であることには変わりないが、わずか170万ドル差だった前週よりもその差が開いている。
特に累計興収では『ガーフィールド』は週末時点で5000万ドルに到達しているのに対し、『フュリオサ』は翌月曜日に到達。海外興収を含めた世界興収も3000万ドル以上の差がついており、じわじわと安定した興行が見込めるファミリームービーと、初動で多くが決まるブロックバスター映画との違いが顕著にあらわれつつある。今後公開が控える『インサイド・ヘッド2』(8月1日日本公開)と『怪盗グルーのミニオン超変身』(7月19日日本公開)の2大タイトルを中心に、この閑散サマーシーズンはファミリームービーが頼みの綱となるはずだ。
しかも公開3週目でも週末3日間興収1000万ドルを維持して3位にとどまった『ブルー きみは大丈夫』(6月14日日本公開)と『フュリオサ』の差も、わずか28万ドルに縮まっている。場合によっては次週末にこちらにも逆転を許す可能性もあるほど大苦戦を強いられている『フュリオサ』。現地メディアによれば、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)のもうひとつの前日譚として計画されている『Madmax: The Wasteland』の製作にも黄色信号が灯っているとか。はたしてどうなるのか、行く末を見守っておきたい。
また、日本で興収100億円を突破するメガヒットを記録している『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の戦い』(日本公開中)は、おなじみのクランチロール提供のもと北米1119館で公開を迎え、7位に初登場。初日から3日間の興収は363万ドルと、海外でも絶大な人気を誇る「鬼滅の刃」や「ドラゴンボール」作品と比較すると爆発力は足りないものの、まずまずの滑り出しといえよう。
北米から見た海外アニメ作品として注目すべきは、28位にランクインした『ロボット・ドリームズ』(11月日本公開)の方だろう。第96回アカデミー賞で長編アニメーション映画賞にノミネートされたスペイン&フランス合作の同作は、ニューヨークでの2館限定公開で3日間興収3万2464ドル。1館当たりのアベレージではランキング圏内のどの作品よりも抜けて高く、かつ批評サイト「ロッテン・トマト」によれば好意的評価の割合は批評家からが97%、観客からが89%とかなり高め。日本公開が非常に楽しみな一本だ。
文/久保田 和馬