死ぬ時、思い出すのは愛したこと?愛されたこと? 中山美穂の場合は?

インタビュー

死ぬ時、思い出すのは愛したこと?愛されたこと? 中山美穂の場合は?

中山美穂が『東京日和』(97)以来、12年ぶりに主演した『サヨナライツカ』(1月23日公開)は、『私の頭の中の消しゴム』(04)のイ・ジェハン監督による切ないロマンスだ。とことん粘るイ・ジェハン監督の現場は大変だったが、大いにやりがいを感じたという中山。そんな中山が、本作の撮影秘話を語ってくれた。

原作は、夫で芥川賞作家の辻仁成の同名小説。沓子(とうこ)は、ザ・オリエンタル バンコクのスイートルームに住む美しく情熱的な女性で、若きエリートビジネスマン・豊(西島秀俊)と恋に落ち、許されぬ愛に身を投じていく。中山にはイ・ジェハン監督からどんなリクエストが入ったのか?

「私に対しては『大丈夫、美しい!』というふうに声をかけてくださるくらいで、細かな演出はあまりなかったです。でも、その都度『もう1回!』って言われて。そのもう1回では、毎回違うニュアンスや違う表情が求められました」と苦笑い。

でも、そんな撮影中、喜びを感じたことも多かったと言う。「いいカットが撮れると、その直後に監督と目が合うんです。言葉は出ないんだけど『やったね、いいのが撮れたよね!』って言ってるのが伝わってくる。監督は子供のようにニタ〜ッて笑うんですよ(笑)。その無言で意思の疎通をしている時がすごく楽しかったです」。

久しぶりに入った映画の現場で、彼女は何を感じたのか。「私は現場ってものが本当に大好きなんだなあと。ひとつのものをそれぞれプロフェッショナルが手掛け、完成したものを多くの人に届けられる仕事って本当に素晴らしいですね」。

今後もまたぜひ映画に出演してほしい!と思うのはやまやまだが、妻として母としての生活も大切にしている中山の答えは慎重だ。「出会いだと思うんです、作品との。これからまた、今まで見たことがないと思えるような映画を作れるのであれば、興味がありますし。出会って楽しかったり成功したりすれば、それが“必然”だったと感じる。だから出会いは一番大事にしたいと思います」。

では、今後、中山美穂としての抱負や目標とは? 「今は、この映画がたくさんの方に観ていただけることを願っているし、パリに戻って子育ても頑張りたい。その時その時コツコツできることを重ねていければと。大きな目標なんて何もないですよ」。その肩肘張らない答えにも好感が持てる。

じゃあ、最後に、小説や映画にも登場するこの問いを。「人間は死ぬ時、愛されたことを思い出すか、愛したことを思い出すか?」。ちなみに沓子はもちろん「愛したこと」だが、中山本人は? 「両方です(笑)。それが理想ですね」と柔らかな笑みを浮かべる彼女。美しい〜!

12年ぶりの主演作と言うが、ブランクなんてどこへやら? スクリーンには映画女優・中山美穂のオーラが見事に映し出されている。そのにおい立つような大人の魅力に男性ならずともメロメロになるだろう!【Movie Walker/山崎伸子】

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