“自由死”を選んだ母の本心を知るべくAIで蘇らせる青年の物語『本心』11月公開、主演は池松壮亮
<コメント>
●石井裕也(監督、脚本)
「平野啓一郎さんの傑作小説を映画化できて本当に光栄に思います。これからさらに普及していくAIやテクノロジーに対して少しでも不安に思っている方々に捧げる映画です。これから確実に到来する複雑な世界の中で、登場人物たちは地に足をつけられず、ひたすらに迷子になっていきます。それは明日の僕たちの姿です。あるいは、もしかしたら僕たちはもうとっくに迷子になっているのかもしれません。素晴らしいキャストとスタッフと共に人が生きる喜びをシンプルに祝福するためにこの映画を作りました。不思議で面白い極上の迷子を是非劇場でご堪能ください」
●池松壮亮(石川朔也役)
「『本心』というあまりに素晴らしい原作を映画化させてくださった平野啓一郎さんに心から感謝しています。この難しい題材にありったけの力を注いでチームを導いてくれた石井裕也監督に心から感謝しています。最高峰のキャスト、最高峰のスタッフが結集し、私たちのこれまでについて、すぐそこまでやってきているこれからについて、2023年猛暑の夏、夢中に懸命に取り組みました。本心を巡る旅路は、人間の本質を見つめ、人間の哀しみを見つめ、欲望と、愛と、存在そのものを追求するような果てしないものでした。自分にとって、生涯忘れられない作品となりました。たくさんの観客の皆さまとこの映画を共有できることを心から願っています」
●三吉彩花(三好彩花役)
「三好彩花役を演じました、三吉彩花です。まずこのお話を頂いた時から運命とはこういうことか、と…そして逆に誰が三好をやるのだろうか、と…なんだか不思議な気持ちになりました。そして、いまの私に必要な役でした。撮影の裏話などをよく聞いていただきますが、こんなに心が苦しかったのは初めてで戸惑いました。それは、三好と一緒に戸惑いました。常に三好と背中合わせで、そこに三好が居るかのような、私にも三好が見えているような感覚でした。皆様にもこの『本心』を感じていただきたいです。本当に素晴らしい方々に恵まれました。この作品を観て救われる方がいらっしゃったら私はとても幸せです」
●水上恒司(岸谷役)
「本や文字というものは、良質なものほど読み手に委ねると私は考えます。それは大変なことだと考えます。今作、『本心』の脚本に私はその委ねる力を感じました。正直なところ、未だに正解がわかりません。でも石井組に参加してそれで良いのだと学ばせて頂きました。なんとも消化の悪く心地の良いクランクアップを迎え、とても嬉しかったです」
●仲野太賀(イフィー役)
「石井組『本心』に参加できたことをとても嬉しく思います。AIが発達して変わりゆく社会と、変わることのない人間の愛の形を描いた今作がどのようにして映画になっていくのか。脚本を初めて読んだ時、常に挑戦を続ける石井監督の更なる挑戦に、身震いしました。僕が演じたイフィーという役は自由度が高く、軽やかでありながら寂しく、とても欲深い人間味をもっています。複雑なキャラクター像を演じるのは、僕自身大きな挑戦になりました。石井監督の演出を信じて導かれるように撮り切れたと思っています」
●田中泯(若松役)
「『本心』のひとこまに居る事事は1日で済んだ、これを書いている私は現在、田中泯だ、が、私が演じた『あの人』はいまも私の内に居る。映画の中にも短い時間だが『あの人』はずっと居続ける。人の存在は等しく架空だ。事実はなんであれ全て地球の過去となる。本心の台本が届いてから時間は重厚なモノローグに匹敵する貴重な稽古だった。さらにも増して、撮影本番の私の右斜めかたわらで、喰いるように私のカラダを見続ける石井監督の存在は、『あの人』と共にあった。感謝!」
●綾野剛(中尾役)
「池松さんの真心、妻夫木さんの愛情、石井裕也監督の真摯さに触れられて幸せでした。私の役柄は、VF(ヴァーチャル・フィギュア)です。私を生んでくれた家族。もう会えない人に会いたいという果てしない想い。それぞれがそれぞれの心と向き合うこと。そして、私という"再生"と生きていくことの誠実さを体感しました。本作が観てくださる方々にとって、ご自身の本心との対話のきっかけになりましたら幸いです」
●妻夫木聡(野崎将人役)
「石井組には何度も参加させていただいていますが、石井組の一体感は改めて素晴らしいものでした。AIの世界はいまだ私たちにとって未知の領域です。僕たち人間には感情があるからこそ存在している意義があると思いますが、人間とAI、リアルと仮想空間、うまく共存できる世の中というのがあっても、僕は面白いんじゃないかとこの映画で思わされました。そして、そう思わせてくれる未来は意外とすぐそばなのかもしれない、未来予想図のようなこの映画を是非映画館で楽しんで欲しいです」
●田中裕子(石川秋子役)
「『本心』の脚本を読んだあと、石井監督に聞きました。『ここに書かれている世界はだいぶ先の話しですよね』と。『いいえ、近い未来10年とか、あとちょっとぐらいかな』監督はそうおっしゃいました。世の中の新しいシステムについて行けず、困ったなぁ感満載の私の日々です。でもね。この作品の主人公の男の子はいっぱい泣くんです。池松くんの涙を見てると、『こんなに男の子が泣いてくれるんだったらまぁいいか…』と近い未来の恐怖にちょっとだけ安心する私がいます。観ていただけたらわかると思うんだけどな」
文/サンクレイオ翼