お遊び度合もてんこ盛りな『バッドボーイズ RIDE OR DIE』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、人気バディアクション「バッドボーイズ」シリーズ最新作、M・ナイト・シャマランの娘の長編初監督作、孤独な3人の男女の絆を描くヒューマンドラマの、個性豊かな主人公が登場する3本。
予測不能な悪タレぶりは健在…『バッドボーイズ RIDE OR DIE』(公開中)
ウィル・スミス、マーティン・ローレンス主演の痛快ポリスアクション最新作。犯罪組織の陰謀で殺人事件の容疑者にされたマイアミ市警のマイク(スミス)とマーカス(ローレンス)は、警察と裏社会から狙われる。『バッドボーイズ フォー・ライフ』(20)で17年ぶりに復活した本シリーズ、今作ではついにマイクが結婚。家族の存在が彼のやんちゃさに影を落とすいっぽうで、病で倒れ生死の淵から生還したマーカスは死を恐れない剛腕コップに大覚醒!ここ一番でひるむマイクを鼓舞しつつ、相棒のお株を奪う二丁拳銃で大暴れを見せつける。何歳になっても予測不能な悪タレぶりは健在だ。
前作は父と子のドラマを軸にシリアス寄りの展開だったが、今作は完全エンタメ仕様。トリッキーなカメラワークを駆使した体感的なアクションが次から次に登場する。カーアクションが少なめなのは残念だが、クライマックスにはスペクタクルな見せ場もがっつり用意。過去作のイースターエッグや脇役キャストの再登場、黒いポルシェで登場するマイケル・ベイ監督ほか多彩なカメオ、歴代ポリスアクションのお約束の踏襲などお遊び度合もてんこ盛り。2年ぶりとなるウィル・スミスの“復帰作”が、彼が初めて主演した『バッドボーイズ』というチョイスもファンにはたまらないポイントだ。(映画ライター・神武団四郎)
新人監督のこだわりがつまった映像世界…『ザ・ウォッチャーズ』(公開中)
『シックス・センス』(99)、『オールド』(21)などでおなじみの鬼才M・ナイト・シャマランの娘イシャナ・ナイト・シャマランの長編デビュー作。主人公はアイルランドの広大な森にさまよい込み、抜け出せなくなった若い女性ミナ(ダコタ・ファニング)。やがてシェルターのようなガラス張りの建物に避難した彼女が、そこで出会った男女3人とともに絶望的なサバイバルを繰り広げるという物語だ。毎晩、森の向こうからやってきて4人を監視する“なにか”の正体とは?
製作を務めた父の得意ジャンルであるスリラーに挑んだイシャナ監督は、「監視者に背を向けてはいけない」など生き抜くための3つのルールを提示しながら、謎だらけのシチュエーションで観る者の想像力をかき立てる。鳥カゴの住人というべき4人の極限心理を追求したキャラクター描写も緊迫感たっぷり。ダーク・ファンタジーの要素もはらみ、新人監督のこだわりがつまった映像世界を体験してほしい。(映画ライター・高橋諭治)
アレクサンダー・ペイン監督作らしい絶妙なセリフと構成を堪能できる…『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(公開中)
ひねくれた面もある嫌われ者の教師、反抗的な生徒、そして一見どっしりと構えながら心に深い傷を抱えた寮の料理長。なにやら“嵐”の予感が漂うキャラ設定だけで見事だが、一年で最も楽しみなクリスマスのホリデーをその3人だけで過ごすことで、予想外のエモーショナルな展開へ導かれる。アレクサンダー・ペイン監督作らしい絶妙なセリフと構成(今回、脚本家は彼ではないが)を堪能できる一作。
舞台は1970年で当時のカルチャーも忠実に再現されつつ、映像のテイストや登場人物の佇まいに、どこか“70年代映画”風が意識され、懐かしの名画を観ているような感覚に陥り、そこは逆に新鮮かも。キャストでは、嫌味な性格にユーモアを巧みにまぶした教師のポール・ジアマッティ、本作でオスカー受賞のダヴァイン・ジョイ・ランドルフはもちろん名人芸だが、これが初の映画出演となった生徒役のドミニク・セッサが、インパクトの強さと繊細な感情表現の両面を見せ、将来の大器を予感させる。彼の名演によって、多くの人が、自分の人生の方向を変えた「大切な出会い」に思いを馳せることだろう。(映画ライター・斉藤博昭)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼