ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」第1弾!日本最古級の映画館「高田世界館」を救うクラウドファンディングがスタート
設備の老朽化や事業継承の問題など、近年様々な危機や困難に直面しているミニシアターを救うべく、全国の映画館や興行場を束ねる全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)が立ち上げた、ミニシアターを対象とした支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」。その第1弾として、現存する日本最古級の映画館である高田世界館を支援するクラウドファンディングが本日よりスタートした。
新潟県上越市高田地区で100年以上にわたり映画館として営業してきた高田世界館。明治44(1911)年に建てられた建物はいまも現役ではあるものの、老朽化は避けられず、過去には取り壊しの危機に直面したことも。そんな折、市民が主体となって保存運動が立ち上げられ、2009年に設立されたNPOが建物を継承。修繕ボランティアの募集の呼びかけや、文化財としての申請など、地域コミュニティを巻き込みながら、現在の営業体制の基礎となる部分が築きあげられ、映画のロケに使用されたことで全国的にその存在が認知されるように。
その後、2014年より定期上映が再開。コロナ禍による売り上げの落ち込みも、映画ファンや地域の人々からの寄付によって乗り越え、2023年度には過去最高の来場者数を記録。しかしながら、赤字ラインギリギリの経営状態のなかで今年4月には映画館の心臓である映写機が故障し、交換を余儀なくされる事態に。また昨年には雨漏りによって屋根の修繕が行われるなど、建物の維持保存のため常に改修の出費が生じるリスクにさらされている。
そこで実施される今回のクラウドファンディングでは、デジタル映写機の交換費用の補填だけでなく、より上質かつ安定した上映環境を目指して数十年ぶりにスクリーンを張り替えるなどの設備更新、また収益構造の強化に向けた新事業としてオリジナルグッズの制作・販売を行うべく物販事業を創設することがおもな方向性として掲げられている。
高田世界館のスタッフからは、「地方はどの街も例に漏れず高齢化が進み、若者が都心に出ていってしまっています。そんななか、高田では古い町家をリノベーションしてお店を開いたりするなど、新しい動きも見られるようになってきました。高田世界館にも、若いお客様が以前より見られるようになるなど希望を感じさせる瞬間もあります。 映画館不遇の時代はこれからも続くかと思いますが、新たなアイディアで人を呼び込み、人々の生活になくてはならない場所にできればと考えております。応援のほど、何卒よろしくお願いいたします!」とのメッセージが。
クラウドファンディング・プラットフォーム「MotionGallary」にて10月31日(木)23時59分まで行われるこのクラウドファンディングの目標金額は850万円。スタートから6時間あまりで、すでに73人から109万円以上(※7月10日、19時現在)の支援が集まっている。リターンの内容やプロジェクトの詳細については、本プロジェクトのページをチェック。日本の映画文化の存続のため、ぜひとも支援に賛同してほしい。
文/久保田 和馬