『フォールガイ』デヴィッド・リーチ監督が語る、タイトルに込めた“もう一つの意味”「心からの愛こそ、この映画の本質」

インタビュー

『フォールガイ』デヴィッド・リーチ監督が語る、タイトルに込めた“もう一つの意味”「心からの愛こそ、この映画の本質」

「ライアン・ゴズリングとエミリー・ブラントは、真のプロフェッショナル」

作品のタイトルにもなっている“フォールガイ”とは、元々はスタント用語の一つ。「映画界ではかなり昔から使われていた言葉ですが、馬から落ちたり、バイクから落ちたり、階段を降りたりする時に、そのステップを踏む人のことをいいます」とリーチ監督は説明する。「ですがこの映画では、すべてを危険にさらすほどの深い愛に落ちた人という意味の比喩も込められているのです」。

コルト役ライアン・ゴズリングのスタントダブルとして、4名のパフォーマーが撮影に参加した
コルト役ライアン・ゴズリングのスタントダブルとして、4名のパフォーマーが撮影に参加した[c]2024 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

本作の脚本を手掛けたのは、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』でもタッグを組んだドリュー・ピアース。気心の知れた脚本家と本作を作り上げるにあたってリーチ監督は「オリジナルに敬意を払いつつ、自分たちなりのひねりを加えたかった」と明かし、フィルムノワールからラブストーリーまであらゆる要素を加えながらじっくりと開発を進めていったという。

「うまくいったと思えるようになったのは、コルトに映画全体にかかわる動機を与えた時でした。彼には原動力となるなにかが必要であり、“愛”ほど強力なものはありませんでした。コルトとジョディの間にある“心からの愛”こそ、この映画の本質。コルトはそれを取り戻し、彼女になぜ自分が去ったのかを伝える必要がある。だから彼はアクションヒーローとしてだけでなく、愛する人に自分の気持ちを表現できる人間として、最高の自分を見せる必要があるのです」と語る。「劇中のラブストーリーは少し大げさに思われるかも知れません。ですが、ハリウッドでは“事実は小説よりも奇なり”。ロマンスもコメディも不条理も、すべて現実の映画制作の現場から取り入れたものです」。

肉体改造をし、自らアクションにも挑んだライアン・ゴズリング
肉体改造をし、自らアクションにも挑んだライアン・ゴズリング[c]2024 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

さらに、自分自身のキャリアを投影したともいえるコルト役を演じたライアン・ゴズリングについて「彼はアクションに対してすばらしい適性を持っている。コルトを演じる上で完璧な人物だった」と太鼓判。また、相手役のジョディについても「下積みから監督の椅子に上り詰めたジョディにも、私の経験が少し含まれています」と明かし、「エミリーはジョディに命を吹き込み、賢く共感できる、とても有能な女性にしてくれました」と感謝を込めた賛辞を贈る。


「彼らはとても楽しくすばらしい人間であり、カメラを回すとレンズを通してエネルギーが湧き上がってくるのがすぐにわかる。これまで私が監督として経験したことのないほどの魅力を2人から感じ、カットをかけることを忘れてしまうこともありました」と、2人の抜群の存在感と相性のよさを絶賛。「ライアン・ゴズリングとエミリー・ブラントは、とても自然体で真のプロフェッショナルです」。

『フォールガイ』は公開中!
『フォールガイ』は公開中![c]2024 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

最後にリーチ監督は、「私とプロデューサーのケリー・マコーマックは、一緒に映画を作るたびに可能な限り大きなフォーマットで観てもらえるようなハードルを設定し、大スクリーンにふさわしい映画をつくろうとしてきました。特にこの作品は、私たちにとって思い入れの強い作品であり、映画への賛美であり、映画館という共同体験のなかで人々が一緒に観るものをつくるという映画人としての愛情が込められています」とアピール。「大きなスペクタクルは、ぜひとも大きなフォーマットで楽しんでもらいたい」と、自信をのぞかせていた。

構成・文/久保田 和馬

作品情報へ

関連作品

  • フォールガイ

    4.1
    2163
    事件に巻き込まれたスタントマンの主人公が、己のスタントスキルで危機に立ち向かうアクション
    U-NEXT