“伝説のJホラー”『亡霊学級』28年目の初上映会が盛況!鶴田法男監督らが舞台挨拶に登壇

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“伝説のJホラー”『亡霊学級』28年目の初上映会が盛況!鶴田法男監督らが舞台挨拶に登壇

8月17日、東京・池袋の新文芸坐にて伝説のJホラーOV『亡霊学級』がデジタルリマスター版でリバイバル上映され、監督・脚本の鶴田法男、主人公・目黒ゆり役の宮澤寿梨、館山道隆役の水上竜士が登壇した。

会場には多くのホラーファンが詰めかけ満席になる事態に
会場には多くのホラーファンが詰めかけ満席になる事態に

『亡霊学級』は、つのだじろうの同名漫画を原作に、“Jホラーの父”鶴田法男がメガホンをとって映像化した1996年のオリジナルビデオ作品。制作から28年、本作が映画館のスクリーンで上映されるのは今回が初めてだという。この日、新文芸坐にはそんな幻の作品を“目撃”しようと多くのファンが詰めかけ、264席ある同劇場のスクリーンは、なんと事前完売で満席!上映後のトークショーでは鶴田監督が開口一番、「皆さん、今日は非常に暑いなか、お越しくださいまして本当にありがとうございます」と笑顔いっぱいで感謝の言葉を述べた。

本上映会の実現は「ファンの声に後押しされた」と語る鶴田監督
本上映会の実現は「ファンの声に後押しされた」と語る鶴田監督

続いて鶴田監督が今回の上映までの経緯を説明。「15~16年くらい前にSNSをやり始めて、ダイレクトにファンの方の声が聞こえてきまして。僕の作品はDVD化されてないものがいくつかあるんだけど、そのなかで特に『亡霊学級』をDVD化できないのかという声が多かった。ですが実はこれ、大映の作品で、もう大映という会社はないんですよね。やはり会社がなくなってしまうと色々と乗り越えないといけないハードルがあり、時間が経つと当時を知っている方も少なくなり…」と実現までの道のりが困難であったことを吐露。加えて「あともう一つ、当時、宮澤寿梨がなにしてるかわからなくて(笑)」と鶴田監督。それを受けて宮澤も、「はい、10年ほど引退している期間がございまして。探してもいなかったと思います」と笑う。

このような経緯を経て実現した『亡霊学級』の、しかもデジタルリマスター版での復活上映。「皆さんの声のおかげですね」と感慨深げな宮澤だが、「私、この当時、ほとんど演技をしたこともなくて。今日この大スクリーンで見て『いまならもうちょっとうまくできるな!』と思いました」と自身の演技には少々不満な様子。「いや、めちゃくちゃ熱演してるよね」と鶴田監督が返せば、客席からは拍手が起こり、「当時高校生ですよね?どこでお芝居学んできたのって聞こうと思ってたんですよ」と水上も相槌を打つ。宮澤寿梨といえば、1998年に出演したスーパー戦隊シリーズ「星獣戦隊ギンガマン」でのサヤ/ギンガピンク役がよく知られているが、『亡霊学級』出演はその2年前で、本格的な演技はほぼ初めてだったとか。

【写真を見る】「星獣戦隊ギンガマン」サヤ/ギンガピンク役の宮澤寿梨が、28年前を振り返る
【写真を見る】「星獣戦隊ギンガマン」サヤ/ギンガピンク役の宮澤寿梨が、28年前を振り返る

一方、水上は友情出演の黒沢清との共演シーンについて、「本番前のテストで、黒沢さんが鶴田監督に『芝居、臭いですかね?』って言ってたんですよ」と当時を振り返る。「で、『え?俺のことかな』と思っていたら、鶴田監督も『う~ん』って考え込んじゃって。結局、黒沢さんはご自身の演技が大丈夫か鶴田監督に確認していただけなんですけど、『自分の芝居が臭いのか!?』と一番汗が出たのは僕だったという。黒沢さんのまったく芝居していないような普通の演技はすごかったですもんね」と、本作でもひときわ印象的な“役者・黒沢清”の撮影舞台裏の逸話を披露。すると鶴田監督も「実は今回、黒沢さんにコメントをもらおうと連絡したら『僕、出てましたっけ?』と言われまして(笑)。全く覚えていなかった」と衝撃の事実(?)を明かした。

最後に鶴田監督が、「本作は1996年11月にビデオ発売されているんですが、同年3月に中田秀夫監督、高橋洋脚本の『女優霊』、翌1997年に黒沢さんの『CURE』、1998年に中田監督の『リング』が公開されました。そういう意味では、本作は本当にJホラーの先駆け的な作品なんです」と『亡霊学級』の“Jホラー史的価値”を改めて力説。そんな鶴田監督に、宮澤が「この作品はこれからどこに向かっていきますか?」と問うと、「今日のこの上映がとても盛況だったので、次に行けそうな気がしています。すぐにではないにせよ、数か月後になにかしらの形で皆さんに新しくお届けすることができるのではないかと思ってますので、ご期待ください」と鶴田監督。Jホラーブーム前夜に誕生し、これまでは知る人ぞ知るカルト的存在だった『亡霊学級』が、新たな展開とともに再評価される日が、近いうちにやって来そうだ。


舞台挨拶は終始、和気あいあいとした雰囲気で行われた
舞台挨拶は終始、和気あいあいとした雰囲気で行われた

なお、8月21日(水)から24日(土)にかけては、神奈川県横浜市のシネマノヴェチェントにて、鶴田監督の自主映画から最新作までの代表作をピックアップした特集上映「Jホラーの父 鶴田法男監督特集」が行われる。出世作となったOV「ほんとにあった怖い話」3作品から伊藤潤ニの原作を実写映画化した『案山子 KAKASHI』(01)などホラーファン必見のラインナップとなっているため、こちらもお見逃しなく。上映日程などの詳細は、シネマノヴェチェントの公式サイトにてご確認いただきたい。

取材・文/PRESS HORROR編集部

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