『デッドプール&ウルヴァリン』と『インサイド・ヘッド2』が牽引!今年の北米サマーシーズンを振り返り
北米サマーシーズンの終わりを告げるレイバーデイの連休となった先週末(8月30日から9月1日)の北米興収ランキングは、前週に引き続き『デッドプール&ウルヴァリン』(日本公開中)が首位をキープ。公開から6週目を迎えた同作は、途中で一度首位の座を明け渡したものの、これで通算5度目のVを達成したことになる。
『デッドプール&ウルヴァリン』の週末3日間の興収は1564万ドル。また、レイバーデイの祝日を含めた4日間では1956万ドルと、まだまだ好調をキープ。しかもその祝日をもって、とうとう史上16作品目の北米累計興収6億ドル突破を達成。公開から39日目での達成は、この夏のライバルである『インサイド・ヘッド2』(日本公開中)よりも1日早い。現時点で両者の累計興収の差は5000万ドルほどとまだ大きい。『デッドプール&ウルヴァリン』は、秋シーズンに入ってからも勢いを保つことができるのかどうか。
一方で『インサイド・ヘッド2』の前に現在立ちはだかっているのは、奇しくも前作『インサイド・ヘッド』(15)公開時のライバルであった『ジュラシック・ワールド』(15)。北米累計興収ではあと230万ドル差のところまで迫っており、ここを越えれば北米歴代興収ランキングのベストテン入りを果たすことになる『インサイド・ヘッド2』。さらに全世界興収でも両者の差は300万ドルを切っており、9年前の雪辱を晴らすのも時間の問題だろう。
さてここからは、今年のサマーシーズンを簡単に振り返っていこう。昨年のダブルストライキによって大作映画のスケジュール変更が相次いだことで深刻な作品不足と閑散期ムードが続いていた2024年。その状態のままサマーシーズンに突入した前半戦の5月は、案の定『フォールガイ』(日本公開中)や『マッドマックス:フュリオサ』(24)といったヒットを期待されたタイトルが相次いで不発に終わる事態に。
ところが6月に入ってから『インサイド・ヘッド2』が公開されたことで一変。アニメーション映画の新記録を打ち立てるほどのメガヒットが映画界全体を大いに活気付け、その後に公開された作品たちも勢いを増していく。期待通りのヒットとなった『怪盗グルーのミニオン超変身』(日本公開中)に、期待以上の大ヒットとなった『ツイスターズ』(日本公開中)を経て、後半戦に突入するや『デッドプール&ウルヴァリン』が大旋風。閑散期も“ヒーロー映画疲れ”もあっさりと吹き飛ばすことに成功した。
それでも結果的にみれば、サマーシーズン全体の興行収入は36億ドルほどで、“バーベンハイマー”が牽引した昨年と比較すると10%ほど減少。これは中規模以上のヒットを飛ばせる作品が少なかったことが主な要因であり、現に全体興収の3分の1は先述の2タイトルが占めている(しかも『エイリアン:ロムルス』と『猿の惑星:キングダム』を含めたディズニー系列のタイトルだけで15億ドル以上)。北米の映画界が本当の意味で復活するまではもう少し時間がかかるのかもしれない。
文/久保田 和馬