全編モノクローム!筒井康隆原作&長塚京三主演&吉田大八監督作『敵』公開決定
筒井康隆の原作小説を、『桐島、部活やめるってよ』(12)、『騙し絵の牙』(20)の吉田大八監督が、12年ぶりの映画主演になる長塚京三を迎えた新作映画『敵』が、2025年1月17日(金)より全国公開されることが決定。あわせて、出演キャスト、場面写真が解禁され、各キャストやスタッフからのコメントも到着した。
渡辺儀助77歳。元大学教授でいまはリタイアし、妻に先立たれた彼は、朝起きる時間、食事、衣類、使う文房具1つに至るまで丹念に扱い、預貯金の残高と生活費があと何年持つかを計算し、自分の寿命を知る。一見自己管理を徹底した生活を送っているように見えるが、時には晩酌を楽しみ、昔の教え子である鷹司靖子に淡い恋愛感情を抱くような、格好の悪い人間らしさもある。だが、そんな穏やかな老後を過ごす儀助の元にある日「敵」が現れる。前半の穏やかな世界観を一変させてしまう物語の転換は、映像ならではの表現で我々に没入感を約束する。原作の筒井は「すべてにわたり映像化不可能と思っていたものを、すべてにわたり映像化を実現していただけた」と本作を絶賛。吉田監督は「自分自身、この先こういう映画は二度とつくれないと確信できるような映画になりました」と自身の新境地を見せる。
主演の長塚は『ザ・中学教師』(92)で初主演を飾り、『ひき逃げファミリー』(92)で第47回毎日映画コンクール男優主演賞、『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』(97)で第21回日本アカデミー賞優秀主演男優賞するなど、1974年にフランスで俳優デビューしてから実に50年、名優として日本映画、ドラマ、舞台の歴史に名を刻んできた。長塚にとっては2013年公開の『ひまわり〜沖縄は忘れない あの日の空を〜』以来、12年ぶりの主演映画となる。“理想の上司像”の印象も強い長塚が、本作では人生の最期に向かって生きる人間の恐怖と喜び、おかしみを同時に表現。清楚にして妖艶な魅力をもつ大学の教え子には瀧内公美、亡くなってなお儀助の心を支配する妻役では黒沢あすかが幻想的に登場する。バーで出会い儀助を翻弄する謎めいた大学生には河合優実が扮するほか松尾諭、松尾貴史、カトウシンスケ、中島歩らが脇を固める。
儀助は穏やかな生活を望んでいたのだろうか。どこかで“敵”の訪れを待っていたのではないだろうか。果たして“敵”とは一体何なのか。考察の沼にハマる、人生最大のテーマをあなたはどう解き明かすだろうか。今後も続報を待ちたい。