シャラメが全身全霊でディランを体現『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』特報映像
『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』(05)、『フォードvsフェラーリ』(19)のジェームズ・マンゴールド監督が、ティモシー・シャラメを主演に迎えた最新作『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2025年2月公開)。このたび、“生きる伝説”ボブ・ディランを全身全霊で体現したシャラメの歌声が響きわたる本作の特報映像とティザービジュアルが解禁された。
60年を超えるキャリアを通し、歴史に残る名曲と伝説を数多く残し、いまもなお1人のミュージシャンとして現役でステージに立ち続けるディラン。2016年に、その文学的影響力により、ミュージシャンとして初となるノーベル文学賞を受賞したほか、アメリカ文化へ多大な影響をもたらしたとしてピュリツァー賞特別賞を受賞。さらに、フランスの最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章や、民間人に贈られるアメリカ最高位の勲章となる大統領自由勲章なども贈られている。
本作では、60年代初頭、後世に大きな影響を与えたニューヨークの音楽シーンを舞台に、当時19歳だったミネソタ出身の無名ミュージシャンであるディランが、時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、世界的なセンセーションを巻き起こしていく様子が描かれる。ディランを演じたシャラメのほか、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、ノーバート・レオ・バッツ、スクート・マクネイリーといった名優たちの出演も明らかとなっている。
解禁された特報映像は、なにも持たない1人の青年がニューヨークの街にたどり着き、街をさまよい歩くシーンから始まる。闇に覆われた街でさびしげな背中を見せていた名もなき存在だった彼が、一転して光に包まれ、ギター1本で聴衆を引きつける印象的な歌声を響かせていく。高揚感が押し寄せ、それだけでゾクゾクする期待が高まる映像となっている。
歌われているのは、ディランの「はげしい雨が降る」。2016年のディランのノーベル賞受賞式で、パティ・スミスが途中で感極まりながらも歌い切り、聴く者も涙したという名曲中の名曲だ。本作でディランのビジュアル、声、パフォーマンスに至るまで徹底的に研究し、若き日の本人が蘇ったかのような見事なディラン像を体現しているシャラメは、すべてのシーンで自身の歌声を披露している。
さらに映像内では、「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」のアルバムジャケットで知られる、当時の恋人スージー・ロトロにインスパイアされた、ファニング演じるシルヴィーとの恋、当時すでに音楽シーン注目のシンガーで、次第にディランと歌をわかち合うことになる「フォークの女神」ジョーン・バエズ役のバルバロ、そして、まだ無名だったディランの才能を見抜き、ディランのミュージシャンとしての道を先導した偉大なフォーク・シンガー、ピート・シーガー役を演じるノートンの姿も映しだされている。激動の時代に、彼らとの出会いがディランにもたらす光と影、そして、時に美しく、時に激しくもある情熱的なエピソードの数々がどのように紡がれていくのか、期待と想像が膨らむ特報映像が到着した。
あわせて、本作のティザービジュアルも解禁され、ディランを見事に再現したシャラメの姿を堪能できる。シャラメが魅せる繊細でエモーショナルな表現力と、ディランへの深い敬愛が融合し、まだなに者でもなかったディランの伝説の始まりが描かれる本作。全身全霊を込め、シャラメ自身が歌い、演じる最高のパフォーマンスとともに、世界を魅了する、“永遠の物語”に熱い視線が集まっている『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』の続報を今後も待ちたい。
文/山崎伸子