『ビートルジュース ビートルジュース』が大接戦を制し北米V3!『トランスフォーマー/ONE』はシリーズ屈指の高評価が頼みの綱に?
先週末(9月20日から22日)の北米興収ランキングは、引き続き『ビートルジュース ビートルジュース』(日本公開中)が首位を守り抜き、これで3週連続のNo. 1に。金曜日(20日)の時点で『チャーリーとチョコレート工場』(05)の北米興収2億645万ドルを抜き去っており、現時点で北米におけるティム・バートン監督作品歴代3位の興行成績をあげたことになる。
とはいえ週末3日間の興収は、オープニング週末の46.3%だった前週からさらに半減の2593万ドル。週末時点での北米累計興収は2億2600万ドルに留まっており、現時点でバートン作品歴代2位のヒット作である『バットマン』(89)の2億5000万ドルには届きそうだが、『アリス・イン・ワンダーランド』(10)の3億3400万ドルに届くのはかなり難しそうな情勢だ。
そんな『ビートルジュース ビートルジュース』にあと一歩のところまで迫りながら、惜しくも2位スタートとなったのが『トランスフォーマー/ONE』(日本公開中)。週末3日間の興収は2461万ドルだったので、両者の差は130万ドルほど。しかも1館あたりのアベレージはわずか29ドル差となっており、極めて接戦であったことがよくわかる。
2007年にマイケル・ベイとスティーヴン・スピルバーグのタッグでスタートした「トランスフォーマー」シリーズは、これまで実写で7作品が製作されており、とりわけベイがメガホンをとった5作品はいずれも2億ドル前後の破格の製作費で、それに見合うだけのメガヒットを記録してきた。昨年公開された『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(23)もまた、北米で1億5000万ドル超、全世界では4億4000万ドルの興収を記録している。
先述の『ONE』のオープニング興収は、スピンオフとして製作された『バンブルビー』(18)のオープニング興収2165万ドルをわずかに上回る、「トランスフォーマー」シリーズとしてはかなり控えめな数字。そもそも実写ではなく3DCGアニメーションにシフトした今作だが、現地のメディアでは従来のシリーズファン層よりも低い年齢層をターゲットにしたマーケティングが、こうした鈍い出足の主な原因として指摘されているようだ。
それでも批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は89%と、かなりの好スコアを記録している『トランスフォーマー/ONE』。「トランスフォーマー」といえば、興行での爆発的成功とは対照的に、批評家からは常に辛辣な目を向けられ続けてきたシリーズでもある。しかし批評的な成功を遂げればそれが自ずと興行面も好転させることは、『バンブルビー』が証明している。
同作は先述の通り2000万ドル強のオープニング興収だったにもかかわらず、批評家から大絶賛を獲得(「ロッテン・トマト」では今回の『ONE』をわずかに上回る90%のスコアを得ている)しロングヒット。結果的に北米で1億2700万ドル、全世界で4億6800万ドルというなかなかの興収をあげている。加えて、ターゲットの年齢層が低い作品ほど、息の長い興行となりやすいのも北米興行の特徴のひとつ。『トランスフォーマー/ONE』は伸びしろが充分にあるスタートを切ったと捉えてもいいのではないだろうか。
文/久保田 和馬