映画『八犬伝』(10月25日公開)のジャパンプレミアが10月3日にCOREDO室町 仲通りで開催され、役所広司、内野聖陽、土屋太鳳、渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人、水上恒司、松岡広大、佳久創、藤岡真威人、上杉柊平、河合優実、栗山千明、磯村勇斗、黒木華、寺島しのぶ、曽利文彦監督の総勢17名が集結。本作の舞台である江戸時代を彷彿とさせるような会場に登場した豪華メンバーが、晴れやかな笑顔でレッドカーペットを闊歩した。
日本のファンタジー小説の原点と称えられる「南総里見八犬伝」の世界と、その作者である滝沢馬琴の物語を描く本作。里見家の呪いを解くため、八つの珠に引き寄せられた八人の剣士たちの運命を描く「八犬伝」=“虚”の世界と、馬琴による感動の実話“実”の2つのパートが交錯していく。
車から続々と豪華なメンバーが降り立つと、会場からは大きな歓声が沸き起こった。ブラックコーデで揃えたキャスト陣は、サインや写真撮影に応じてファンサービスに専念。ファンを大いに喜ばせていた。
イベント時刻の会場は雨の予報だったが、運よく天気がもってイベントがスタート。滝沢馬琴役の役所は「皆さん、こんばんは。僕は晴れ男です!だからなんとか持ったんだと思います」と笑顔で口火を切り、周囲から「よっ!」と声援を受けた。「撮影してから2年が経ちますが、その間に監督が仕上げを丁寧にやってくれました。すばらしい映像ができています。ぜひ大きなスクリーンと大音量の映画館で観てください」と完成作に胸を張った。
馬琴と長年友情を育んできた葛飾北斎役の内野は、金髪スタイルでお目見え。「たくさんの人に集まっていただいて、ありがとうございます」と会場を見渡し、「『八犬伝』を書いた馬琴さんが、実は北斎の絵にも影響を受けていたという話はまったく知りませんでした。絵を書きながらも、役所さん演じる馬琴さんにちょっと意地悪な、おもしろい北斎を演じています」と2人の関係性も注目してほしいとアピールした。
土屋は“虚”パートにおいて、優しさと勇気を兼ね備えた“八犬士の聖母”伏姫を演じている。おへそをチラリと見せたブラックドレスで会場を魅了した土屋は、「時代を超えて愛された物語と最新の技術とのマリアージュによって生まれた、この刺激的な作品。馬琴さん、北斎さんが通ったであろう日本橋で、世界の未来に届くと思うと胸がいっぱいです」としみじみ。「江戸時代から変わらない同じ空の下で、こうして皆さんといられることを本当に幸せに思っています」と心を込めていた。最後には司会の「前代未聞の!」との掛け声をきっかけに、全員で「八犬伝!」と発声。華やかなイベントを締めくくった。
続いてTOHOシネマズ日本橋に会場を移して、上映後の舞台挨拶を実施。大きな拍手に包まれてステージにあがった役所は、「曽利監督が小学校の頃に、NHKの(連続人形劇)『新八犬伝』を観てからずっと『八犬伝』の世界が好きで。映画監督になられたころから、これまでずっと『八犬伝』を映画にしたいと思ってこられて、それが実現してこの作品に参加できたことをとても誇りに思います」と感無量の面持ち。内野は「役所さんとはほぼ初めてご一緒することになりましたが、とても楽しい現場にいさせていただきました。馬琴が部屋に閉じこもって作品を創っているのに対して、北斎はいろいろなところを歩き回って、馬琴の書斎のなかに風を持ち込むような存在でいてほしいと、監督からは言われました」と役作りを振り返り、「なんとかおじいちゃんを演じましたがいかがでしたか?」と会場に質問。感動を表現するように拍手が上がると、内野は「役所さんもおっしゃっていましたが、情熱家の曽利さんとのお仕事はいつも興奮してやらせていただいてきました」と付け加えていた。
八犬士のリーダー、犬塚信乃を演じた渡邊は、「僕らは“虚”のパートということで、すごくVFXが多いなかで撮影をしていて。(撮影から)2年越しになるんですが、ようやく皆さんにお届けできたという喜びに今日は浸りたいと思います。本当に監督にはおつかれさまでした、と言いたいです」と曽利監督に改めて感謝の言葉を述べるひと幕も。八犬士、犬坂毛野役の板垣は「新感覚のエンターテインメントを観たなという感じがしていて。きっといまご覧になって、そういう風に思われた方も多かったのではないかと思います。この作品が広く世界にまで届いたらいいなと思っております」と晴れやかな表情。そして八犬士、犬飼現八役の水上は「私事で恐縮ですが、水上恒司になってから初めての作品がこの作品でした。その作品が世に放たれていくということがすごくうれしいですし、この錚々たるメンバーのなかでご一緒することができたことをとてもうれしく思っております」と胸の内を明かした。
“実”パートとして、馬琴の息子である宗伯を演じた磯村は「2年前に撮った作品を今日、無事にお届けすることができて非常にうれしく思います。とてもぜいたくな時間をこのキャストのなかで過ごさせていただきました。この映画がより広く育まれて、広がっていくのだと考えると非常に楽しみです」と語ると、宗伯の妻、お路を演じた黒木が「初号試写を観させていただいた時に、こんなにも八犬士が戦っているのかと思いましたし、その物語を命がけで書こうとした馬琴さんの想いをより強く感じました。自分も興奮することができましたし、“虚”と“実”を皆さんにも楽しんでいただけたら」と願いを込めた。
曽利監督は「役所さんにおっしゃっていただいた通り、『八犬伝』は子どものころから大好きで。この世界に入ってからもなんとか映画にできないかなとずっと考えていたんですが、なかなか映画化に進まなくて。そういった時に山田風太郎先生の『八犬伝』という小説を読んで、これがパッと光が差した感じで、もうビビッときました。“虚”と“実”という本当に粋な演出が原作にもありまして。これをなんとか描けないかなというのが次の目的になって、このたび映画として実現しました。まさにこれだけのキャストに演じていただいて、監督冥利に尽きるというか。もうこんなことはないんじゃないかと思うくらいの財産になりました」と喜びを噛み締めていた。
取材・文/成田おり枝