映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』(公開中)の公開記念舞台挨拶が10月5日、丸の内TOEIにて開催され、鬼太郎の父役の関俊彦、水木役の木内秀信、古賀豪監督が登壇した。
水木しげる生誕100周年の記念作品として公開された『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(23)の超ロングランヒットを受け、327カットのリテイクを行い、音も再ダビングした本作は、公開初日もこの日のイベント付き上映回も満員という盛況ぶり。新たな追加シーンはなく、上映時間も変わらないが、よりクオリティがアップした映像と音で再び、鬼太郎の父たちの物語が楽しめる。
「『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が、ここまでロングランになるとは思っていなかった」と昨年11月の公開当時を振り返った関は、大ヒットを実感したのは事務所を通してお祝いメッセージを依頼された時だったと笑顔を見せる。「115万人を突破したという情報が入ってきて。お祝いのメッセージ依頼がメールで来ました。そこで大ヒットが本当だっだ!と実感したんです」と話し、「一度劇場で上映された作品がブラッシュアップされて、しかももう一度劇場でかかるなんて。生きてきたなかでそんなことはなかったし、これからもないと思っています。改めてすごい作品に出させていただいたんだなという心境です」と、感謝の気持ちを込めて深々とお辞儀した。
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、最終的には195万人を動員。「作品をまだ観ていないという後輩を連れて何度も“入村”しました」と話した木内が自身も動員に貢献したと胸を張る場面も。古賀監督は「最初の舞台挨拶の時に、クチコミで広げていただければ…と話しましたが、まさかここまで広げていただけるとは、というところまで広げてもらいました」と感謝しきり。脱出ゲームや、シネマ・コンサートといった展開も、作品に触れた人たちからの声で生まれたものだとし、「震えながら作品愛を伝えてくれるスタッフさんが多かったです。(脱出ゲームやシネマ・コンサートなどの)出来上がったものを見ると、作品愛がたくさん伝わってくるものばかりです!」と作品が広がっていく様子を肌で感じることができたとしみじみしていた。
『真生版』で印象的だったのは「血液の色」と答えた関。「血の色が変わるだけでこんなにも印象が変わるんだとびっくりしました」と目を丸くする。さらに「水木くんがかなり男前に見えてきて」との関の感想に木内も「水木くんもゲゲ郎もカッコよくなっていた。水木くんを見て、あれ?男前かもと思う瞬間がたくさんありました」と誇らしげ。関は血の印象がかなり強かったようで、「血の多さと流血の多さ!」と再び『真生版』での血の表現に触れ、「出血大サービスとはまさにこのこと。庚子さんのシーンでは、血飛沫がぶしゃーって立っていた。さすがにあのシーンは(迫力がありすぎて)『うっ…』ってなりましたね、怖くて」と震えるような仕草を見せながらも「クライマックスは血がもう、ね?」と自身が驚いた注目の血のシーンを興奮気味にピックアップしながら「もう一度観て!」とおすすめしていた。
木内の好きなシーンは「入村シーン」とのこと。「トンネルを抜け、村を歩いていくシーンがとても綺麗。僕は、喋っていないんですけれどね(笑)」とセリフではなく、映像が見どころのシーンをピックアップ。「昔の田園風景、いまほど暑くない、いわゆる昔ながらの日本の田舎の風景に、これからなにが起こるんだろうって、不安を抱えながら歩いているシーン」と水木の心情を解説。風景の参考にした村があると古賀監督から明かされるも、モデルになった場所は公表されていないと確認した関と木内は「賛成!聖地巡礼とかで大変なことになっちゃうから!」と日本のとある小さな村に思いをはせる場面もあった。
関、木内、古賀監督は、『真生版』を4DXで鑑賞したそう。ちなみに関と古賀監督は今回が4DX初体験。「こんなに座席が動いて、映像に集中できるのか」と心配だったと明かした関は「雨のシーンで水飛沫が飛んでくる。メガネを拭いてはかける、拭いてはかけるを繰り返しました(笑)」と苦笑い。酔いやすいタイプの古賀監督は「ビビりながら参加しました。でも、全然平気でした」と得意げ。その理由は「監督特権かもしれないです。何回か観ているから、次のシーンで揺れるとか、あらかじめ待機できるんです」とニヤニヤ。隣で聞いていた関は、「それこそ、木内くんが好きな入村シーン。そよ風吹いてきて気持ちよかったです」と怖さや、迫力を感じるシーン以外でも、作品の魅力を堪能できたポイントを挙げていた。
最後の挨拶で3人は『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』がクチコミで広がっていったことに改めて感謝。327カットのリテイクを行い、音も再ダビングといった作業は、アニメーターの並々ならぬ尽力があったからこそと労った関は、「口には出さないけれど、大変な作業だったはず。そして、皆さんのクチコミがあったからこそです。本当にありがとうございます」と満面の笑みを浮かべ、「願わくば、再び、鬼太郎の父としてスクリーンで皆さんに会える日が来れば…」と再会に期待を込め、大きな拍手に包まれながらイベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ