山田涼介、泣くシーンで苦戦。村上虹郎や寛 一 郎とも共演
東野圭吾原作の同名小説をHey!Say!JUMPの山田涼介主演で映画化したファンタジー『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が9月23日(土)から公開される。本作で、共に行動する3人組を演じた山田涼介、村上虹郎、寛 一 郎にインタビュー。廣木隆一監督の現場について話を聞いた。
同じ児童養護施設で育った矢口敦也(山田涼介)、小林翔太(村上虹郎)、麻生幸平(寛 一 郎)は、とある理由で女性起業家の家へ盗みに入る。逃走した3人は空き家となっていたナミヤ雑貨店に忍び込むが、32年前に書かれた1通の手紙が突如届き、その手紙に返事を書いたことから奇蹟が生まれていく。
山田は「実質1か月半くらいの撮影期間、ほとんど3人一緒にいました」と2人と顔を見合わせる。「虹郎は当時19歳だったけど、すごく堂々としていました。寛ちゃんは見た目とは裏腹にすごく人見知りで、かわいい弟みたいな印象を受けました」。
村上は「僕は、最初『Hey!Say!JUMPの山田涼介だ!』と思いました」と笑う。「寛ちゃんについては共通の知り合いが多かったので、仲間意識がもともとあって。シャイだと聞いていましたが、寛ちゃんから話してくれてうれしかったです」。
寛 一 郎が「山田くんは、あまりベラベラしゃべるタイプではなくて、いい意味で壁がある人で、徐々にしゃべるようになっていきました。虹郎はフレンドリーそうだけどちゃんと壁もある人で、そこらへんを少し感じてジャブ程度に話していきました」と言うと、虹郎は「ジャブ、来ました」と相づちを打つ。
『暗殺教室』2作や『グラスホッパー』(15)など、これまではキャラ立ちした個性的な役柄で存在感を発揮してきた山田。今回は敢えて“引き算”の演技を心がけたと言う。
「僕は普段、アイドルという職業柄、いくらでも前に出そうと思えば出せるんですが、引くことを要求されることはあまりないんです。やったことのない作業だし、もともと主張が強い顔だし、どうやって存在感を消していこうかと考えました。メイク時間も1分半くらいにして、髪の毛もサーッと直しておしまいにしたりとか。自分のなかでは新しい試みで、現場に立ってからもずっと引き算をやっていった感じです」。
若い俳優を徹底的にしごき、リアリティを引き出すと言われている廣木監督。寛 一 郎は「すごく怖い監督だと聞いてたんで、ビクビクしながら現場に行きました」と言う。村上から「一番最後の山田くんが泣くシーンは、けっこう何回もテイクを重ねていた」と振られた山田は「本当にボッコボコにされました」と激白。
「実は、泣きの芝居を1回で泣けなかったのは今回が初めてで。これまで全部1回で泣けたのは、感情がつながっていたからです。今回に関しては、雑貨店の中のシーンを東京で撮って、その後、街へ出て来るシーンを大分で撮ったので、1か月も芝居のスパンが空いちゃったんです。もちろん、泣きのシーンは虹郎も寛ちゃんもつき合ってくれたんですが、僕の経験上、無理だろうと思っていたし、廣木監督からも1ヶ月前から『あそこ、マジで大事なシーンだから』とずっと言われてきたので、そのプレッシャーにやられました」。
その後、休憩を挟んだ後で撮った時は「完全に集中できた瞬間があった」と振り返る山田。「まさに演技の幅を超えた演技って言うのかな。廣木監督が待っていてくれたのはこれなんだと初めて知りました。ちょうどクランクアップの日でしたが、そのことを知れて良かったし、廣木監督とやれて本当に良かったと思いました」。村上が「迫真の長回しシーンでした」と言うと、寛 一 郎もうなずいた。
現代と過去のエピソードが時代を超えてつながっていく感動の群像劇となった『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。山田が「今回、僕は主役という立場でやらせてもらっていますが、本作は、それぞれみんなが主役みたいな映画だと思っています」と言うとおり、それぞれの演技が奏でるアンサンブルに心温まる映画となった。【取材・文/山崎伸子】