135万円の低予算ホラーが興収1億ドル!“時の人”が語るヒットの勝因
これぞアメリカンドリーム! 撮影期間7日間、135万円の低予算映画が、全米の興行成績で1位をマークし、興行収入1億ドル(約90億円)を突破した。このサスペンスホラー『パラノーマル・アクティビティ』(1月30日公開)のオーレン・ペリ監督が緊急来日。大成功した後のホットなコメントをお届け。
若いカップルが住む一軒家で起きた恐ろしい現象を「自分たちで撮る」というドキュメンタリータッチで演出した本作。最初はわずか12館でレイトショー公開された本作だが、クチコミで怖さが広がり、その後2000館で拡大公開され、なんと公開5週目にナンバー1となった。
ペリ監督本人は、この成功を予想していたのか? 「映画祭で試写を始めた時、感想がとてもポジティブなものだったから、自分も周りの人間もヒットの可能性を感じたけど、まさかここまでの大ヒットになるとはみんな思ってなかったよ。感謝しつつも、圧倒されたね」。
そう、スクリームフェスト・ホラー映画祭で見いだされ、スティーブン・スピルバーグ率いるドリームワークスがリメイク権を獲得。その後、クオリティーの高さに「リメイクは不可能」と判断され、オリジナルで公開されたところ、メガヒットとなったのだ。ペリ監督は「大変尊敬しているスピルバーグが自分の作品を観てくれて、しかもすごく気に入ってくれたことは、人生でもっともシュールですごい体験だった!」と興奮気味に語ってくれた。
では、監督は本作の勝因をどうとらえているのか? 「理由はいくつかあると思う。例えば“予感”の積み重ねだ。実際に起きていることよりも、何かが起きそうな予感、サスペンスを重ねていくことが大事だ。また、俳優の演技と撮影スタイルがドキュメンタリーっぽく、リアリズムをはらんでいるので、観客が感情移入しやすいこと。それから人間が寝ている時、すごくもろい状態にある真夜中に、もし何かが起きていたら……という設定が分かりやすかったんじゃないかな」。
なるほど、それらの要因は、ペリ監督が本作を撮る際に影響を受けた作品を聞いても納得。同じフェイクドキュメンタリーの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)に、ホラー映画の金字塔『たたり』(63)や『エクソシスト』(73)、近作のスリラーでは『シックス・センス』(99)、『アザーズ』(01)などを挙げた。それらの要素を踏まえ、ミニマルな撮影で恐怖を引き出した手腕は見事である。
スピルバーグお墨付きのホラー『パラノーマル・アクティビティ』は、いよいよ1月30日(土)から公開される。すでに全米では、『ソウ6』(09)のケビン・グルタート監督による続編の公開が10月に決定していて話題騒然だが、日本の映画ファンはこの鳴り物入りのホラー映画をどう受け止めるのか!? この週末のリアクションが楽しみでならない。【Movie Walker/山崎伸子】