桜満開の時期に井の頭公園ロケを実現させた方法とは?韓国ドラマ「愛のあとにくるもの」撮影秘話
「作品を観て、ロケ地巡りに東京へ来てもらうという効果を期待しています」(遠藤)
――海外作品の誘致に積極的なのは、観光地としてのPR効果を狙ってということでしょうか?
遠藤「そうです。二次効果というのですが、東京で撮影された映画やドラマが世界に公開、配信されたりして、東京の魅力を知ってもらうということ。作品を観て、ロケ地巡りに東京へ来てもらうという効果を期待しています。特に海外作品に関しては一次効果も狙っています。予算規模の大きな作品だとたくさんのスタッフが来るので宿泊費などもかなり大きな金額になります。アメリカや中国の作品だと予算が桁違いに大きいこともあります」
――「愛のあとにくるもの」は韓国から何人くらいの関係者が来日したのですか?
チェ「40~50人くらいです。韓国の最近のドラマにしては予算規模が大きいほうではないんですが、日本の普通のドラマに比べて2倍くらいの時間をかけて丁寧に撮りました。日本での撮影期間は約2か月です。日韓両国の視聴者が観て納得できる作品をつくろうというのが目標でした。日韓のスタッフがそれぞれの国の事情を話し合いながら、台本を何度も直しながら作り上げました」
――韓国での反響はいかがですか?
チェ「最近の韓国のドラマは刺激の強い作品が多いのですが、本作は様々な感情を表現していて、セリフも日本語が多いので、韓国の視聴者に受け入れられるか、僕らも予測することがなかなか難しかったです。でも、配信が始まると予想以上に評価が高くてびっくりです。監督含めみんな大喜びしています」
「実はラーメン店のロケ地調整も、井の頭公園の次に大変だったんです」(チェ)
――井の頭公園、吉祥寺、川越、そして京都でも撮っていますよね。そのほかのロケ地は?
遠藤「上野でも撮りました。本編では吉祥寺の設定ですが、東上野のコリアンタウンにあるラーメン店で撮りました。僕も撮影の時に行きましたが、上野なのに店の外に貼ってあるポスターは吉祥寺と書かれたものばかり。もちろん撮影用ですが。台東区は都内でも特にフィルムコミッションが活発なところで、撮影による経済効果の数字を区の議会に報告するなどとても熱心です」
チェ「実はラーメン店のロケ地調整も、井の頭公園の次に大変だったんです。最初の台本では、ラーメン店とコンビニが向かい合っているという設定でした。ただ、東京のラーメン店は非常に狭い店が多く、撮影に適したラーメン店で、かつコンビニが向かいにある所を何か月も探し回ったけれど見つからず。ある時、上野の辺りでロケハンを終えて喫茶店でホットサンドを食べながら僕が言ったんです。『コンビニじゃなくて、ホットサンドを売るキッチンカーでもいいんじゃないですか?』って(笑)。それなら前にキッチンカーを停めるスペースのあるラーメン店を探せばいい。監督も納得して、それで見つかったのが上野のラーメン店でした」
――ほかに撮影で苦労したことは?
チェ「韓国からのスタッフはみんな、日本の春はもっと暖かいものだと思っていましたね。今年の春は寒くて、みんな日本で厚手の服を買って寒さをしのぎました。また、井の頭公園での撮影は残念ながら雨が多く、よく見ると雨が映っていると思います。雨と寒さとの戦いでしたね」
――東京で特に撮影希望の多いスポットは?
遠藤「歌舞伎町や渋谷のスクランブル交差点は昔から海外からの撮影希望が多く寄せられていましたが、以前は制限が厳しくてほとんど認められなかった。でも我々が規制緩和の方向で努力して、一定の制限のもとで撮影できるようになってきました。またどんどん撮影の相談をしていただきたいです」
チェ「最近は韓国の制作会社などから東京で撮りたいという問い合わせがたくさん来ているので、ぜひよろしくお願いします」
取材・文/成川彩
■「愛のあとにくるもの」作品情報
出演:坂口健太郎、イ・セヨンほか
監督:ムン・ヒョンソン
Prime Video独占配信中
話数:全6話
作品ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGWV7FLG
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