「ドウェインとの仕事は、いつも前回とは違う旅になる」
本作にはヨーロッパに伝わる伝説の怪物クランプスや、童話でお馴染みのスノーマン、ギリシャ神話のメドゥーサや地獄の猟犬などファンタジーの定番キャラが数多く登場する。彼らとカラムたちのバトルも見どころだ。「神話の要素やクリーチャー、多くの人たちが親しんできたおとぎ話をまったく違った形で紡ぐというアイデアに強く惹かれました」というカスダン監督が特にこだわったキャラクターがトナカイ。サンタクロースのそりを引くかわいい姿でお馴染みのトナカイだが、本作では大柄でパワフルなクリーチャーとして描かれている。「個人的に最初に興奮したのは、トナカイを斬新に描くというアイデアでした。ただかわいいだけの動物ではなく、モフモフしたルックはそのままに力強いキャラクターにしようと思ったんです。サンタクロースの仲間であると同時に、神話に出てくるクリーチャーを意識しました。トナカイたちは映画の導入部分から登場するので、その後の活躍にどう繋げていくかだけでなく、この作品の世界観がどうあるべきかを示唆する試金石でもあると考えて作りあげました」
アクション・エンタテインメントの頂点に君臨し、本作のプロデュースも務めたジョンソンと仕事について「最高に楽しい時間」だというカスダン監督。「彼と初めて組んだ『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』以来、いつも楽しい時間を過ごしています。ドウェインの魅力は、ただ仕事相手としてすばらしいというだけでなく、常に協力的で僕がなにかやりたいことを提案すると、なんでも実践してくれるところです。プロデューサーでもある彼は、ストーリー作りの段階から全力で取り組み、プロジェクトを成功に導いてくれました。なんとしてもおもしろい作品を創ろうという姿には、いつも感心させられます。おまけにユーモア好きで愉快な男ですから、撮影現場はいつも活気に満ちています。仕事ぶりはもちろん、人間的にも文句のつけようがない唯一無二の存在です」と絶賛する。
これがジョンソンとの3度目のコンビ作となるカスダン監督は、本作ではこれまでにないジョンソンの一面が垣間見られたという。「本作のカラムは、『ジュマンジ』シリーズなどこれまでドウェインが演じてきた役柄とは違うタイプのキャラクターです。カラムはかつてない冒険を強いられ、危機に陥りそれを克服する人物です。2本の『ジュマンジ』でも彼は異なる顔を見せてくれましたが、今回さらに新しい一面を見ることができるでしょう。すばらしいコラボレーションが必ずそうであるように、ドウェインとの仕事はいつも前回とは違う旅になるのです」。
サンタクロースを救い出す過酷な冒険を通し、失われた「人の心を信じる力」を取り戻す男を描いた本作は、無敵のヒーローを演じてきたジョンソンにとって新境地といえる。2大アクション・スターの競演やサンタクロース奪還を巡るサスペンス、クリスマス・イブの奇跡を描いた心温まるストーリーなど見どころ満載の本作。「ドウェインが新たな役に挑戦するのを目の当たりにするのは、とてもエキサイティングな体験でした」とカスダン監督をうならせたジョンソンの名演も本作の魅力なのである。
文/神武段四郎