巨匠リドリー・スコット監督による『グラディエーター』の“その後”を描く『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が、現在公開中だ。11月21日にはTOHOシネマズ日比谷で吹替声優登壇イベントが行われ、武内駿輔(ルシアス役)、沢海陽子(ルッシラ役)、宮野真守(ゲタ帝役)、梶裕貴(カラカラ帝役)が出席。双子の皇帝を演じた宮野と梶が終始漫才のようなやり取りを繰り広げ、武内と沢海、会場の笑いを誘った。
ローマ帝国が栄華を誇った時代を舞台に、復讐を誓う剣闘士“グラディエーター”として、激しい闘いに身を投じていく若き主人公ルシアス(ポール・メスカル)の姿を描く本作。
印象的なセリフも多い本作だが、ルシアス役を演じる武内は、劇中の「力と名誉」というワードが大好きだと話し、「前作をご存知の方は、前作のシーンがよみがえるようなセリフ。彼が背負っているものが表れているようなセリフなので、大切に演じようと思いました」と吐露。
ルシアスの母であり、ローマ帝国の未来を憂えるルッシラ(コニー・ニールセン)を1作目から続投する沢海は「ごめんなさい」というセリフが心に残っていると切りだし、「私は前作にも出ているので、そこからの流れで『ごめんなさい』というところは、家でリハーサルをしていても泣けましたし、収録時にも泣けてしまった。グッとくるセリフ」と胸を熱くしながら収録したという。
極悪非道でクレイジーな双子皇帝たち、ゲタ帝(ジョセフ・クイン)役を宮野。カラカラ帝(フレッド・ヘッキンジャー)役を梶が演じている。ステージでは自由に振る舞う宮野に、すぐさま梶がツッコむなど、兄弟役の2人は終始息ぴったり。極悪非道な役どころとあって、これまで「悪いことをした」エピソードについて告白することになると、宮野は「僕は梶くんに対して、いつも自由。こういうイベントがあって、もし楽屋が一緒になった場合、そこでも僕はボケ倒す。本番前にも、梶くんがツッコミ倒す。その時にもう、喉がいっちゃう(やられてしまう)」と明かして会場も大笑い。梶が「表舞台に出る前にカスカスになっちゃって。疲れ果てる!」と抗議するなか、宮野は「楽屋でも全力でツッコんでくれる。それはたまに悪いなと思います」とちょっとだけ反省していた。
クレームを入れながらも「そんな宮野さんと、双子役をやらせていただくのはうれしい」とうれしそうな梶だったが、ステージに上がる前からボケ&ツッコミを続けている2人に、武内は「皇帝漫才」と役柄と重ね合わせて表現。会場からも彼らの掛け合いに拍手があがっていたが、さらに武内が「相方としてこのままM-1グランプリとか」とコンビ結成を希望すると、沢海も「なんか違う世界みたい」と大笑いしていた。
また武内と沢海が「英雄エピソード」を披露して、皇帝役の宮野&梶がハンドサインでエピソードのジャッジをするひと幕もあった。舞台俳優としてシェイクスピアの舞台に出演することもあるという沢海は、「『マクベス』で魔女の一人を演じたんですが、全身黒ずくめで髪はボサボサ。白塗りのメイクで、白のカラコンで怖い感じにして。その時に眉毛が邪魔だなと思って、全剃りしました」とにっこり。「眉毛は生えるから」と清々しく言い切る沢海に、周囲も「勇気がいるでしょう!」と驚いていたが、このエピソードに宮野&梶はサムズアップで「英雄だ!」とジャッジ。宮野は「お客様とお芝居のために全剃り。すばらしい役者魂」と惚れ惚れとしていた。
続いて武内は、本作でも共演している声優の山寺宏一に会うと「僕たちはモノマネが好きなので、楽屋でも僕が『山寺宏一です』、山寺さんが『武内駿輔です』とキャッキャとやっている」とお互いのモノマネで大盛り上がりするという。そんな2人を見ていた声優の林原めぐみは呆れていたそうで、武内は「2人で虚空を見つめた」と回想した。にぎやかなエピソードを明かしつつも、こちらには宮野&梶がサムズダウンで「英雄ではない」という判断し、武内は肩を落としていた。
最後に武内は「人間が再生することのすばらしさを感じた」と改めて本作の魅力を分析。「どんな状況になったとしても再生できる。一人の再生がみんなの再生につながるという人間愛を大切に思いながら、声を吹き込ませていただきました」と力を込めながら、「リドリー・スコット監督の描く壮大なビジュアルと共に、人間ドラマも楽しんでください」と呼びかけていた。
取材・文/成田おり枝