成田凌×中村映里子×森田剛、片山慎三監督作『雨の中の慾情』出演への素直な想いを吐露「このような作品に出るために役者をやっている」
「『(義男は)肘を曲げないで走る』人というところに意味が込められているのかもしれない」(成田)
——片山監督とはどのようなお話をしたのでしょうか。現場で印象に残っていることはありますか?
成田「現場では本当にいろいろと話しました。とにかく何度も会話を重ねた印象があります。衣装合わせの時に、『義男さんは肘を曲げないで走ると思うんです』と言われて。そういう走り方をする人というところに意味が込められているのかもしれないと思ったので、そういう人間を演じようと意識しました。言葉では表現するのが難しいのですが、感じ取るものがあったんですよね」
——走るシーンは印象的でした。
成田「台本にはト書きで1行『義男、走る』と書いてあるだけ。でも、撮影では毎日走っていました。登場した場所すべてを駆け巡るシーンだったので、すべてのロケ地で走るカットが必要で、結果的に毎日朝晩走ることになりました。朝軍服に着替えて走って、汚して走って、汚れを落として普通のシーンを撮って、夜にまた走って1日を終える。軍服に着替えて汚して汗をつけて走るというのが毎日のルーティーンでした(笑)」
——毎日、朝晩。ハードな撮影だったのですね。
成田「夜だと『走ったら終わる!』という気持ちになれるけれど、朝は本当に大変でしたね。インタビューなので一応エンタメとして喋ると、やる気はありました(笑)」
中村&森田「アハハハ!」
——大丈夫です。成田さんのやる気は映像にちゃんと映っているので(笑)。
成田「ありがとうございます(笑)」
「監督がアイデアをワードで置いていってくれるので、そこを大事にしたいなと思っていました」(森田)
中村「片山監督がセリフを言いながらやり方を見せてくれることが多くて。『こんな言い回しかな』とか『やっぱりセリフはこうしようかな』と考えている時に、ちょっと福子になりきってやってくれるのがすごくおもしろくて」
成田「やってましたね」
中村「監督がやるのを見ながら、単なるモノマネにならないようにという想いで一生懸命だったのですが、監督のお芝居が結構おもしろくて」
成田「おもしろいですよね。ついつい見ちゃう」
中村「あんな身体の大きい坊主の方が福子をやってるって思うと……」
森田「アハハハ」
——森田さんはいかがでしたか?
森田「本読みの時に『割と少年っぽい感じで』というような、ワードで、『こうしてほしい』というリクエストがあって。台湾で(撮影に)入ってからも、『伊守は引き笑いみたいな感じです』っておっしゃったりして」
成田「言ってましたね」
森田「それで監督がやってくれるんです、伊守の引き笑いを(笑)」
中村「やってました!」
森田「現場でいろいろアイデアが出てくるのは、多分監督が台湾に来たことで、生の台湾を見て、感じてインスピレーションを得たから。それをボソボソってワードで置いていってくれるので、伊守を演じるうえでは、そこを大事にしたいなと思っていました」
——監督はいろいろなキャラクターになってくださる(笑)
成田「現場でどんどんいろいろなことが思い浮かぶようで」
中村「そうでしたね」
成田「それを現場にいる全員で体現していく感じです」
——みなさんも順応していかなければならないですよね。
成田「自分たちは動けばいいという感じだけど、例えばなにか劇中に使うアイテムがあったとします。すると『これ、何個ありますか?』みたいなトークが始まるんです。その時のスタッフさんの『え?』という反応からすぐに動き出す瞬間というのはこの現場ではおなじみで、本当にたくさん遭遇しました」
中村「本当にたくさんありましたね」
成田「『伊守のほくろって何個ありますか?』って言ったことがあって」
森田「アハハハ!あったね(笑)」
成田「次の瞬間、メイクの方がほくろを作り始めるんです(忙しそうな手つきを再現)。監督の思い浮かんだことに、全力で各部署のスタッフが瞬時に準備していくって、すごく楽しいですよね」
——現場の空気から生まれる感じがしますね。セッションというか。
成田「そうですね。その感じが心地よくて。もちろんその分時間はかかるけれど、みんながいい作品にしたいという一心で常に同じ方向を見ている感じがあって、すごくいい現場でした」