“一つの指輪”を巡る壮大な冒険を描き、最終章『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』(03)がアカデミー賞最多受賞を果たした「ロード・オブ・ザ・リング」三部作。そこから遡ること200年前、J・R・R・トールキンの原作「指輪物語 追補編」に記された戦いの物語をアニメーション映画化した『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』が12月27日(金)より公開。このたび、全米公開に向けて現地時間12月3日にワールドプレミアが開催され、神山健治監督や製作総指揮のピーター・ジャクソンを始め、“LOTR”の豪華キャスト&スタッフが大集結した。
ワールドプレミアイベントには、神山監督や「ロード・オブ・ザ・リング」&「ホビット」三部作を監督し、本作では製作総指揮を務めたジャクソンらをはじめ、ボイスキャストであるブライアン・コックス(ヘルム王役)やガイア・ワイズ(王女ヘラ役)のほか、「ロード・オブ・ザ・リング」キャストであり本作にも参加しているドミニク・モナハン、ビリー・ボイドが登場。さらにゲストとして、イアン・マッケラン(ガンダルフ役)、ケイト・ブランシェット(ガラドリエル役)、アンディ・サーキス(ゴラム役)などの実写キャストらも勢揃いした。
会場となったオデオン・ラックス・レスター・スクエアには、華々しいレッドカーペットや燃え盛るたいまつが飾られ、壮大なシリーズ作品である本作の世界観に相応しい豪華なプレミアイベントとなった。世界中のマスコミや多くのファンが押し寄せ、中にはコスプレをしたファンの姿もあり、“LOTR”の世界的な根強い人気を印象付けていた。
イベントについて神山監督は「これほど大きなプレミアイベントに出席するのが初めてです」と緊張した面持ちで語り、「長編アニメーションですが、実写的な作り方をしている。3D空間上に建造物を再現してカメラのアングルなど構図を決めて制作した。リアリティを感じる映像になっていると思うのでぜひ注目してほしい」と見どころをコメント。全米3,000館以上、さらに全世界で数万スクリーンに及ぶ拡大公開が決定している本作のプロモーションが各国で始まることについては、「この作品に、どんな感想を抱くのか楽しみにしている。3年間にわたって作品制作に取り組んできた。様々な挑戦をして、スタッフ全員の想いがこもっている。ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいです」と自信をこめて期待を示した。
また、ジャクソンは完成した作品を観たそうで、「冒頭のシーンから素晴らしかった。そこからストーリーが展開され、ラストに向けての盛り上げまで見入ってしまった」と絶賛し、「20年前に『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』を観た方たちは、“ヘルム峡谷”について知っていると思います。この作品は、ヘルム王のストーリーを描いているだけでなく、なぜ“ヘルム峡谷”と呼ばれることになったのかが分かる。『ロード・オブ・ザ・リング』で重要な部分を、この作品で描くことができたのは、本当に素晴らしいことだと思う」と、自身が手掛けたシリーズとリンクする重要な作品となったことへの喜びを語った。そして、「日本のみなさん、そして日本の『ロード・オブ・ザ・リング』ファンのみなさん、神山健治監督が手掛けた素晴らしい作品を楽しんで下さい。この作品は、数百人もの日本人アニメーション・クリエイターやアーティストたちによって制作されました。彼らの仕事ぶりは、まさに称賛に値します。みなさんがこの作品を愛してくれることを願っています」と制作陣への賞賛とともに、日本のファンへメッセージを送っている。
字幕版で偉大なるヘルム王の吹替を務めた名優ブライアン・コックスは神山監督について、「神山健治監督は本当に天才だよ。まだ未完成のドローイングの段階で観た時から、その素晴らしさに圧倒された。その後のアフレコで作品に命が吹き込まれると、目を見張るものがあった。これは初めての経験だったよ。彼のクリエイティビティは、見事だった」と褒め称えていた。
神山監督が成し遂げた“偉業”にみなが口を揃えて賞賛を送っており、その完成度の高さでさらに期待が高まったプレミアイベント。世界が注目し、いよいよ日本公開まで一か月を切った『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』を劇場のスクリーンで堪能してほしい。
文/平尾嘉浩