堤真一と山田裕貴がダブル主演を務めた映画『木の上の軍隊』が2025年6月に沖縄で先行上映され、7月に全国公開されることが決定。あわせて、ティザービジュアルが到着した。
本作は、作家の井上ひさしが生前に記していた原案をもとに、こまつ座にて上演され人気を博した同名舞台を、沖縄出身の平一紘による脚本と監督で実写映画化。太平洋戦争末期、熾烈な地上戦が繰り広げられた沖縄で、敗戦を知らずに2年にわたってガジュマルの木の上で生き抜いた2人の日本兵の姿を、実話に基づいて描きだす。
1945年、太平洋戦争末期。沖縄の伊江島で日本軍は米軍との激しい交戦の末に壊滅的な打撃を受けていた。宮崎から派兵された上官の山下一雄(堤)、地元沖縄出身の新兵、安慶名セイジュン(山田)は敵の激しい銃撃に追い詰められ森の中に逃げ込み、大きなガジュマルの木の上へ登って身を潜める。太い枝に葉が生い茂るガジュマルの木はうってつけの隠れ場所となったが、木の下には仲間の死体が増え続け、敵軍陣地は日に日に拡大し近づいてくる。連絡手段もなく、援軍が現れるまで耐え凌ごうと彼らは敗戦を知らぬまま2年もの間、木の上で孤独な戦争を続けていた。やがて極限状態に陥った2人は…。
本作で主演を務める堤は、戦争下の厳しく恐ろしい上官の山下が、木の上の生活で変わっていく様を悲惨さの中にユーモアを交えて演じきる。堤と並んで主演に抜擢された山田は、沖縄で育ち、一度も島から出たことがない純朴な新兵の安慶名を嘘のない眼差しで真っ直ぐに表現する。
堤と山田は今回の作品で初共演。堤は「難しい役だと色々考えていたけれど、真っ直ぐな安慶名そのものの山田くんのおかげで2人だからこそ生まれたものをそのままやっていけばいいんだと思えた」と語り、一方の山田は「堤さんの実在する力が凄く、お芝居せずに反応できる、役を生きるということができた」とコメント。2人は互いに信頼も厚く、育った環境も地位も年齢も違う山下と安慶名の姿を見事に体現。木の上で死への恐怖と日本兵としての使命感に葛藤しながら生き抜いていく様を演じている。
脚本と監督を務めた平は、沖縄出身で原作のモデルとなった実在の日本兵とも同年代。本作の映画化にあたり「僕は、沖縄で生まれ育ち沖縄戦について沢山知っているつもりでした。しかし、この映画を撮る為にあらゆる角度で取材し、あの戦争を見つめた時『木の上の軍隊』で皆さまに見せたい景色が見えてきました。沖縄で撮ったということ。伊江島で撮ったということ。生きた樹で撮影したこと。それらは全てスクリーン上で皆さまに肉迫するでしょう。本当に起きた事の恐ろしさと、素晴らしさをご覧頂きたいです」と想いを語る。沖縄在住のスタッフを中心に組まれた制作陣と共に、全編沖縄で撮影、木の上のシーンは実話と同じく伊江島で、実際に生えているガジュマルの木を活用し撮影を敢行した。
太平洋戦争での敗戦から80年を迎える2025年。当時を語れる戦争体験者がいなくなっていく時代に向かうなかで、本作が製作、公開される意義は大きい。この映画を通して、改めて戦争について考えたい。