『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』(12月20日公開)の最速先行上映会が12月15日、新宿ピカデリーにて実施され、乱太郎役の高山みなみ、きり丸役の田中真弓、しんべヱ役の一龍斎貞友、土井半助/天鬼役の関俊彦ら豪華声優キャストと藤森雅也監督が登壇した。
放送開始から幅広い世代に愛され続けているアニメ「忍たま乱太郎」。テレビアニメ、ミュージカル、実写映画など、様々な形で親しまれてきたなかで、ファンの間で高い人気を誇る「小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師」がついに映画化となる本作は、普段の「忍たま」とはひと味違う、シリアスな展開も見どころだ。
上映後の舞台挨拶ということで、ネタバレを気にせずトークが展開できることに大喜びのキャスト陣。高山は「13年ぶりの劇場版については『いま?やるんだ?』という気持ちでした」とニッコリ。「これまで土井先生に関する表現はカットされがちでした」と振り返った田中はお世話になっている土井先生についてもっと描いてほしいと心の底から思っていたと熱弁。高山、一龍斎は「それ、ずっと言ってたよね」と田中の言葉に反応し、だからこそ、今回はファンだけでなく”乱・きり・しん”を演じる三人にとっても待望のエピソードだったと笑顔。「本当にうれしかったです!」との田中のコメントに関は「1作目、2作目の映画を改めて観たのですが、本当に完成度が高い」としみじみ。だからこそ、「期待しかない」という想いも込み上げてきたそうで、土井先生ときり丸のエピソードがクローズアップされることについて、楽しみでもあり、気合いも入っていたとも話していた。
「思いついたことは全部入れようと思ってやった」と2作目を振り返った藤森監督。今回は「思いついたことは全部却下する」という真逆の発想で制作を進行したそう。シリーズ史上最もシリアスな展開であり、描かれ方や演出にもいつもとは違う部分も多くありつつ、アフレコ現場の雰囲気はあまり変わらなかったそうだが、関は昆奈門役の森久保祥太郎の様子に触れ、「隣に座っていた森久保くんが、台本を読んで『大笑いする』って書いてあるけれど、テレビシリーズで大笑いしたことないんだよな…って心配していて。でも、本番では爽やかな大笑いで。これは女の子のファンとられるなーって思いながら見ていました」とニヤニヤすると、「そんなこと考えてたんだ!」「(ファンの取り合いで)火花バチバチだ!」と大はしゃぎする高山と一龍斎。いつもと違うという点では「八方斎すらかっこいい!」と田中が指摘し、「しんべヱだけが変わらない」と高山と田中が声を揃えると、一龍斎は「どんな時でもお腹を空かせているからね!」とお腹を押さえてしんべヱの声ではらぺこの仕草を見せ、会場を和ませていた。
長く続くシリーズならでは!という会話もアフレコ現場では交わされていた様子。「お互いを労り合う現場」との田中のコメントに高山が「山田先生が急に『みんな歳とったなあ』って言い出して」と大塚明夫のつぶやきを思い出し大爆笑。「鏡渡して、(顔を写して)見せてやりたかったわ!」と田中が騒ぎ出すと、高山が田中を落ち着かせながら「みーんな一緒に歳を重ねているんだよってね(笑)」と微笑み合う姿に、会場から”労い”の拍手が送られていた。
見どころは全部!としながらも、イチオシは登場シーンだと話した関。侵入者を排除するというクールな態度から、憎しみを持った戦いに変わる瞬間がターニングポイントになればという想いで演じたと明かす場面も。会場から「なるほど」という声も漏れ聞こえると、MCからリピート鑑賞する際の注目ポイント!とのおすすめもあった。
「『忍たま』には出てきたことのないようなシーンにびっくりした」という高山は、注目ポイントに冒頭のシーンを挙げ、「この始まりでどうなっていくの?と笑えるところを探しました。途中にも何度か出てくるけれど…」と話し、いつもとはひと味違う「忍たま」の世界観を楽しむことができるとも解説。この描写について、藤森監督は土井先生の過去をイメージとして描くために「不穏さ、不吉さを血がドバドバとは描けない。風景のなかに、この先の不吉な流れを象徴できる形として置きました」と説明していた。
本作は日本での公開以降、2025年1月29日(土)より台湾での上映を皮切りに、韓国、ベトナムでの公開が決定している。海外でも愛される理由について高山は「変わらないところが(愛される)最大の理由。どの世代も変わらずに同じ話ができる。ずっと変わらないでいるからこそ愛されていると思います」と深く頷きながらコメント。藤森監督は「目上を尊重する。アジア的な躾まではいかないけれど、そういうところがしっかりしていて安心して観られるところがある。アジア圏では特にそう感じます」と語り、「ダジャレがどうやって翻訳されているのかも気になります!」と補足すると、高山、田中、一龍斎、関も「すごく気になる!」と前のめりになって、ワイワイと盛り上がっていた。
フォトセッションには、乱太郎・きり丸・しんべヱ、土井先生の着ぐるみも応援に駆けつけた。
取材・文/タナカシノブ