「子供向け」とあなどるなかれ!世界が認める天野喜孝のアート・アニメ
夜更けのキッチンで歌い踊る芽キャベツ、レタス、ガーリック。2007年4月からNHK教育テレビで放映されて静かな人気を呼び、2008年にも続編が作られたCGアニメーション『やさいのようせい N.Y. Salad』が、満を持して劇場公開されることになった。
細く柔らかな輪郭と、水彩画を思わせる淡い色彩が印象的なキャラクターを生み出したのは、映画にもなった大ヒットゲーム「ファイナル・ファンタジー」のキャラクターデザインで世界的に有名な鬼才・天野喜孝。天野といえば、一般的にはバンパイヤなど妖艶でダークな人物画が思い出されるだろう。幼稚園児が喜ぶような画家というイメージは薄いが、実は彼の出身はタツノコプロ。「タイムボカン」など多くの子供向けアニメを手がけた実績がある。
本作の原案となった画集「N.Y. Salad」には、そんな氏の軽快でコミカルな一面が凝縮されている。そもそもこの画集は、ニューヨークのアトリエで仕事に疲れた彼が、ふと目についた野菜をスケッチしたことから始まった。彼自身が癒されたという無邪気な妖精たちの絵柄を損なうことなくアニメ化した本作は、その芸術性が高く評価され、第41回ヒューストン国際映画祭のテレビ&ケーブル部門でプラチナ賞およびゴールド賞、ブロンズ賞を同時受賞。今回の劇場版では、受賞作『はっぱのそり』を含む全3話のリマスター版に加え、20分のオリジナルストーリーが3Dで上映される。
絵本のような見た目に「子供向け」とあなどるなかれ! 世界が認めた芸術家のイマジネーションを、ぜひ劇場で体感しよう。【Movie Walker】
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