トイレで直訴!オーディションで大遅刻!北野武監督とバイプレイヤーたちの出会いがグッとくる
裏社会の抗争を描いた、北野武監督の人気シリーズ第3弾『アウトレイジ 最終章』(10月7日公開)。激しいバイオレンス描写はもちろん、本シリーズの楽しみはコワモテの俳優がこれでもかというくらい、大勢出演していることだ。第1作では北野組常連以外の俳優で固められていたが、フィナーレとなる本作ではおなじみの俳優も出演。なかでもシリーズ初参戦の津田寛治、大杉漣はその筆頭だ。今回は、そんな2人と監督との逸話を少しだけ紹介したい。
津田寛治…喫茶店で直訴して、喫茶店員役に抜擢
今作で、大友(ビートたけし)が身を寄せる大物フィクサー・張(金田時男)の側近役で出演する津田。彼と監督の出会いは、津田のアルバイト先の喫茶店だったそう。役者志望だった津田は、監督が喫茶店に訪れることを聞かされプロフィールを用意して待ち続けた。ある日、関係者と店を訪れた監督が用を足そうと席を立ち、一人になった瞬間、津田はなんとトイレで「役者じゃなくてもいいので現場に入らせてください」と直訴した。
それから1年後。津田と喫茶店で再会した監督はその場で『ソナチネ』(93)での喫茶店シーンを増やし、彼を店員役に抜擢した。幸運にも俳優デビューを勝ち取った津田は、以降『みんな~やってるか!』(95)や『キッズ・リターン』(96)などの北野作品出演を機に活躍の場を広げていった。
大杉漣…引退覚悟のオーディションで遅刻!?
一方、大友と敵対する花菱会の新会長・野村を演じた大杉は、70年代から舞台を中心に活動し、80年代にはピンク映画にも出演。役者を引退する覚悟で『ソナチネ』のオーディションに臨んだという。ところが、その一世一代の日に大遅刻。
しかし、会場で「どうもすいません…」と謝る大杉の姿を見た監督は、彼に何故か電話番の役を与えたという。そこから『HANA-BI』(97)や『BROTHER』(00)など北野作品にも多く登場するようになり、日本映画界にいなくてはならない俳優としてステップアップを遂げている。
役者を発掘し、ブレイクの機会を作ってきた北野監督。そんな俳優たちとの間に隠された逸話を知ってから映画を見ると、彼らのまた違った魅力が堪能できそうだ。『アウトレイジ 最終章』で名バイプレイヤーたちの非道っぷりも楽しんでほしい。【トライワークス】