2009年の自分を振り返った松たか子「頑張っていれば、いい出会いがある」、松村北斗「奇跡が待っている」『ファーストキス 1ST KISS』で夫婦役

2009年の自分を振り返った松たか子「頑張っていれば、いい出会いがある」、松村北斗「奇跡が待っている」『ファーストキス 1ST KISS』で夫婦役

日本のドラマ、映画界を牽引する脚本家である坂元裕二と、数々のヒット作を生み出してきた塚原あゆ子監督がタッグを組んだオリジナル劇場公開作品『ファーストキス 1ST KISS』(2月7日公開)の完成披露舞台挨拶が1月13日にイイノホールで行われ、松たか子、松村北斗(SixTONES)、吉岡里帆、森七菜、脚本の坂元、プロデューサーの山田兼司が出席した。

『ファーストキス 1ST KISS』完成披露舞台挨拶が開催された
『ファーストキス 1ST KISS』完成披露舞台挨拶が開催された

事故で夫を亡くした妻がひょんなきっかけからタイムトラベルする術を手に入れ、亡くなったはずの若かりし姿の夫ともう一度恋に落ち、15年後に事故死してしまう彼を救うことを心に決める様子を描く。夫と出会う直前の日にタイムトラベルをする主人公の硯カンナ役を松たか子、カンナの夫、硯駈役を松村北斗が演じる。

硯カンナ役を演じる松たか子
硯カンナ役を演じる松たか子

松と松村は、初共演にして夫婦役を演じた。松は「人気者」と松村の印象を語り、会場も大笑い。松村は「どこに行っても、(松は)『僕の輪郭がはっきりしている』という謎の回答をし続けている」と意味がはっきりとわからない印象を語られるそうで、これには松が「わたし的にはしっくりくるんですけどね。思っていたより、シルエットがちゃんと見える方」と続け、松村は「わかる方、いらっしゃいますか?」と会場に問いかけ。観客からは「わかる」という意見を表すように拍手が上がっていた。

硯駈役を演じる松村北斗
硯駈役を演じる松村北斗

「会う前は、芸能人、松たか子という印象だった」と素直に打ち明けた松村は、「松さんは会った初日から今日まで、本当に距離感や話し方が変わらない方。初対面からずっと知っていたかのように振る舞ってくれる方。そのおかげで夫婦役がやれた」とお礼を述べていた。

松は、これまでもドラマ「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」など坂元裕二脚本の作品に出演してきた。坂元は「松さんといつか映画を作りたいと勝手に思っていた」と念願だったと告白し、「こうして1本作ることができて、松さんがこういった華やかな格好をしているところにお会いしたことがなかったので、ドキドキしました。この映画を作ってよかったなと思いました」とにっこり。

脚本家の坂元裕二
脚本家の坂元裕二

続けて「松村さんは29歳と45歳という演じ分けをほぼご自身で、多少CGはあるかもしれませんが、お二人ともほぼCGに頼らずに、お芝居で演じ分けていらっしゃった。びっくりしました。もちろんすばらしいCGは世の中にあると思いますが、そういうものを超えていく俳優の力を見せていただいた」と俳優力を絶賛。20代と40代では、松村の声も変化している。松村は「試写を観て、塚原監督が40代の頃は加工で下げてくれたんだと思った。塚原さんは『(加工はせず)そのままですよ』とおっしゃっていた。肉襦袢みたいなもので太らせていたので、声が響いていた」と明かしながら、「松さんもサポートをしてくださって、塚原さんのアドバイスもあり、自分でも気づかない間に40歳にたどり着いていたのかなと。そこまで行けてよかったなと、いま安心しています」と喜びを噛み締めていた。

吉岡里帆、衝撃の告白
吉岡里帆、衝撃の告白

またこの日は2009年にタイムトラベルする本作にちなんで、2009年を振り返って「その時の自分になんと声をかけたいか?」という質問に回答するひと幕もあった。松は「事務所とか、仕事をする環境が変わった年。ちょっと寂しい環境になりつつ、身軽になった時期。『頑張っていれば、いい出会いがあるよ』と言いたい。だから『頑張れ』と言っておきます」と笑顔。松村は「すごく大事な年。芸能界の活動を始めたのが、2009年の2月。アドバイスは正直ないです。思うままに来たら、とりあえずここには来られる奇跡が待っている。一個でも間違えれば、あっという間に消し飛んでしまうので、当時の自分には何も言えないです。たくさん間違えるけど、それがあってのこれだと思います」とすべての経験が糧になっているという。


駈に恋心を抱く里津役を演じる吉岡は、「パスポートを部屋から出すなと言いたい。高校生の時の修学旅行が海外だったんですが、パスポートを紛失して行けなかった。『思い出を丸っと失うよ』と言いたい」と実感を込め、会場もびっくり。美術スタッフの世木杏里役に扮した森は「9歳くらいまで大阪に住んでいたので、2009年は関西人でした。役としても関西弁を使う機会は多いので、関西弁を忘れないようにと言いたいです」と目尻を下げていた。

坂元裕二の脚本の大ファンだと明かした森七菜
坂元裕二の脚本の大ファンだと明かした森七菜

さらに成人の日とあって、松と松村は新成人にエールを贈った。松は「自分が思っている以上に可能性をいっぱい持っているんだと信じて、これからもたくさん失敗をして前に進んで行ってほしいと思います。未来をよろしくお願いします」、松村は「僕は今年30歳になる。なんとか20代を過ごしたんですが、30代からいよいよ頑張りどきだという気持ちが強い。この10年を振り返ると、20代はたくさん失敗し続けていられる時期だなと改めて思う。皆さんも恐れずに失敗をしにいろいろなところへ行っていただけたらと思います」と心を込め、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

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