【ミニシアターランキング】『小学校~それは小さな社会~』がついに1位を奪取!1月10日~1月13日の成績を紹介
1月10日から1月12日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今週は先週まで3週連続1位の快進撃を続けていた『どうすればよかったか?』がまさかのベスト5圏外に転落し、先々週4位、先週2位と着実に順位を上げてきた『小学校~それは小さな社会~』(公開中)がついにトップに。先週3位の『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』(公開中)も1つ順位を上げ、映画ファンを中心としたたくさんのユーザーに支持されていることをうかがわせた。
今週は、まったく装いが違う3本の新作『オークション 〜盗まれたエゴン・シーレ』(公開中)と『ねこしま』(公開中)、『シンペイ~歌こそすべて~』(公開中)がランクインし、新しい年の幕開けにふさしいフレッシュな風を注ぎ込んでいることにも注目したい。細部にまで行き届いた個性豊かなラインナップこそ、エンタテインメント志向が強いシネコンとは違うミニシアターの醍醐味。「こんな映画があったのか?」「この人の人生を映画で描いてくれてうれしい!」「こんな題材でも映画になるんだ?」という喜びや驚き、至福の出会いが、暗闇で対峙する映画本来の愉しみをより魅力的なものにしてくれる。果たして、このなかからさらに順位を上げるのはどの作品なのか?今週のように、順位が一変する可能性もある。2025年のミニシアターもますます刺激的でユニークな映画を届けてくれるに違いない。
【ミニシアターランキングトップ5】(1月10日~1月12日)
1位『小学校~それは小さな社会~』(先週2位↑)
2位『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』(先週3位↑)
3位『オークション 〜盗まれたエゴン・シーレ』(NEW)
4位『ねこしま』(NEW)
5位『シンペイ~歌こそすべて~』(NEW)
4位に飛び込んだ『オークション 〜盗まれたエゴン・シーレ』は、ナチスドイツが略奪したエゴン・シーレの絵画「ひまわり」を巡る実話にインスパイアされて物語を紡いだフランス映画。2000年代初頭、フランス東部の工業都市ミュルーズ郊外。オークションハウスで働く主人公の競売人、アンドレ(アレックス・リュッツ)が鑑定した絵画は、長い間行方不明とされていた分離派の画家エゴン・シーレの傑作だった!この事実をベースにした本作は、美術オークション業界の知られざる内部構造や特権階級の残酷さを鮮やかに浮き彫りにしている。アートに群がる様々な人間の思惑や駆け引きが、オークション・シーンの緊迫感と共に描かれるので、美術に特に興味がない人も知的好奇心をくすぐられる。監督は、ヌーヴェルヴァールの巨匠ジャック・リベット作品の脚本家として知られるパスカル・ボニゼール。エスプリの効いた、名画の謎に迫る一級のサスペンスとしても楽しめるはずだ。
ストレートなタイトルの『ねこしま』は、野良猫たちが人間と共存する地中海の島国、マルタ共和国のいまを捉えた心温まるドキュメンタリー。“猫の村”の存続をかけて開発業者と戦うローザ、巨大な猫像の制作をライフワークにするアーティストのマシュー、猫に魅せられてマルタに移住した俳優のポリー、猫の保護活動に奮闘する少年アイザック…そんな島民と猫たちのふれあいが笑いや感動を生み、観る者に大切なことを教えてくれる。本作を観たら、間違いなくマルタに行きたくなるはず。猫好きはもちろん、観た人全員の心をほっこりさせてくれるに違いない。
5位の『シンペイ~歌こそすべて~』は、「シャボン玉」「ゴンドラの歌」「東京音頭」などいまでも歌い継がれている童謡、歌謡曲、音頭、民謡といった多彩なジャンルで2000もの名曲を遺した作曲家、中山晋平の知られざる生涯を『ハチ公物語』(87)などの神山征二郎監督が描いた珠玉の音楽映画。歌舞伎俳優の中村橋之助が、映画初出演&初主演で18歳から65歳までの晋平を演じているのも話題!名曲誕生にまつわる数々のエピソードが聞いたことのあるそれぞれのメロディや歌声と共に映しだされ、大正&昭和ロマンに浸れるから、その時代に憧れを抱く若い世代の動員も獲得しているのかもしれない。映画館が幅広い観客層で賑わう理想的な光景が目に浮かぶ。
続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ!1月17日(金)に、実写とストップモーションアニメを融合させ、現実と虚構の壁が崩壊する恐怖を描いたシッチェス・カタロニア国際映画祭審査員特別賞に輝く衝撃のサイコロジカル・ホラー『ストップモーション』が登場!翌1月18日(土)には映画作りに没頭する高校生たちのかけがえのない時間を虚実を横断する唯一無二の手法で活写したPFFアワード2023グランプリ受賞作『Retake リテイク』が公開。どちらも、味わったことのない新感覚の刺激と息吹きで観客を魅了することになるだろう。
公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。現在、全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、応援したい映画館の魅力を紹介してくれる公式アンバサダーを募集中。自身のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを通じてミニシアターを紹介し、劇場救済に協力してもらおうという試みとなる。応募条件等詳細は公式アンバサダー募集ページをチェック!
文/イソガイマサト