オダギリジョー、『アカルイミライ』は「気合が入りまくっていた」
日本とキューバの合作映画『エルネスト』の初日舞台挨拶が10月7日にTOHOシネマズ新宿で開催され、オダギリジョー、永山絢斗、阪本順治監督が登壇。オダギリが、映画初主演を果たした『アカルイミライ』当時を「気合が入りまくっていた」と振り返った。
キューバ革命の英雄、エルネスト・チェ・ゲバラの意志を継いだ実在の日系人、フレディ前村ウルタードの知られざる生涯を描く本作。演じたフレディが25歳の若さで革命家としての命を全うしたことから、それぞれの“25歳の頃”を写真とともに振り返ることになったこの日。
オダギリは映画『アカルイミライ』の1シーンの写真を掲げ、「初めて主演映画をやらせていただいた。本当に気合が入りまくっていた」と述懐。「共演が浅野忠信さんだし、藤竜也さんだし、黒沢清監督だし。この作品で失敗したら、役者人生の先はないぞと思って。毎日、とにかく全力でやっていた」という。
しかしながら、「すべてのシーンで、黒沢監督からは“オダギリさん、そんなに芝居しないでください”と言われて。とにかく、毎日、毎回それを言われていた」と力が入りすぎていた様子。その頃の目標は、『バートン・フィンク』『レザボア・ドッグス』などで知られる俳優、スティーヴ・ブシェミだったそうで、「スティーヴ・ブシェミのように、こだわりのある監督と何本も撮り続けて、ある世界観を作っていく仕事をしたいなと思っていた」と告白していた。
先日のネットニュースでは「仕事をしないで遊んで暮らしたい」との発言が取り上げられたオダギリだが、「それはまあ、みなさんそうでしょ」と会場を見渡し、「自分は違うみたいな人は、たぶん世の中になかなかいないんじゃないかなと思う。今の目標はそうですね、働かないで楽して生きたい」と素直に語り、会場の笑いを誘っていた。
飄々としたコメントを放っていたオダギリだが、最後には「かなりリスクを負う、挑戦的な作品だと思って、僕も参加させてもらった。10年後、こういう作品がつくられる余裕があるのかは、今の作品が出す答えによると思う」と本作への熱い想いを吐露。「日本映画界にとって、とても意味のある、作られなきゃいけない作品だと強く思う」と訴えかけていた。【取材・文/成田おり枝】