ジェラルド・バトラー主演『ザ・アウトロー』続編が北米No. 1スタート!オスカー有力作の“ゴールデン・グローブ賞効果”は?
先週末(1月10日から12日)の北米興収ランキングは、全体の総興収が前週比75.5%の7843万ドルで、これは昨年の感謝祭直前の閑散期の数字に匹敵する。例年1月の2週目の週末は、キング牧師記念日の祝日と重なる連休になることが多いが、今年は4年ぶりになにもない普通の週末。2020年のように作品に恵まれれば新年最初の週末からの下落を抑えることもできるが、基本的には10〜30%程度数字を落とす傾向にあり、数字上はかなり少ないとはいえ、下落率で捉えればまずまずといったところだろう。
そんななかで1位を獲得したのは、2018年の同時期に公開されたジェラルド・バトラー主演の『ザ・アウトロー』(18)の続編となる『Den of Thieves 2: Pantera』。3008館で封切られ、初日から3日間の興収は1502万ドル。前作が2432館での公開で1520万ドルだったので、1館あたりのアベレージは下回っているものの数字的には同等。バトラーの主演作が初登場で1位に輝くのは『エンド・オブ・ステイツ』(19)以来となる。
近年ほとんどの主演作・出演作で自ら製作も兼任しているバトラー。興行的に目立った成績をあげられている作品はほとんどないが、2012年以降にしばらく続いた酷評ラッシュの時期はかろうじて越えた模様。今作も批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価63%、観客からのそれは79%と、それぞれ41%と63%だった前作を上回っている。
メガホンをとったクリスチャン・グーデガスト監督は、すでにシリーズ3作目の脚本が完成したことを明かしており、さらなる続編の計画があることも報じられている。前作は制作費3000万ドルに対して全世界興収8050万ドル。4000万ドルの制作費がかけられた今作は“初登場1位”という大きな箔がついたとはいえ、前作以上の成績が求められることになるだろう。
前週逆転で1位を獲得した『ライオン・キング:ムファサ』(日本公開中)は、『Den of Thieves2』にわずか80万ドル届かず2位に後退。週末時点での累計興収は1億8979万ドルで、近日中に2億ドル突破が確実。一方、『ムファサ』のライバルとなった『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』(日本公開中)は北米累計興収2億ドルを突破し、シリーズ最高興収の記録を着々と更新中だ。
第82回ゴールデン・グローブ賞の発表後最初の週末ということで、同賞で注目を浴びた作品の成績をピックアップしていこう。作品賞(ドラマ部門)など3部門に輝いた『ブルータリスト』(2月21日日本公開)は前週より60館ほど上映館数を増やした上で、引き続き1館あたり2万ドルを超えるハイアベレージを維持。11位まで浮上しており、トップテン入りも充分に狙えそうだ。
アニメ映画賞で大金星をあげたラトビア映画『Flow』(3月14日日本公開)は、前週よりも120館ほど上映館数を増やし、累計興収300万ドルを突破。デミ・ムーアが主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を制した『サブスタンス』(5月16日日本公開)は、週末時点で8館での上映だったが、1月17日から350館で再拡大。9月の初公開時にトップテン入りしているとはいえ、勢いが違ういま、どこまで伸びてくるのか注目しておきたい。
文/久保田 和馬