【ミニシアターランキング】不思議なウイスキーで若返る70代女性たちを描いた『アーサーズ・ウイスキー』が初登場1位!1月17日~1月19日の成績を紹介
1月17日から1月19日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今週は先週1位の『小学校~それは小さな社会~』(公開中)が1つ、先週2位の『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』(公開中)が2つ順位を落とす一方、初登場の3作品が大躍進!
いきなり1位に踊りでた『アーサーズ・ウイスキー』(公開中)は不思議なウイスキーを飲んで体が20代に若返った3人の70代女性が珍騒動を巻き起こす内容とあって、女性客を中心とした映画ファンから熱烈に支持された模様。初登場3位の英国発のホラー映画『ストップモーション』(公開中)はストップモーションアニメと実写を融合させた斬新なタッチがホラー映画を観慣れているコアな観客も魅了したと思われる。5位に飛び込んだ『モルグ 屍体消失 デジタルリマスター』(公開中)は、長らく観る機会がなかった1994年の伝説的デンマーク製ホラーのデジタルリマスター版。この日が来るのを待ち望んでいたホラー映画ファンが劇場で目を輝かせている姿が目に浮かぶ。
【ミニシアターランキングトップ5】(1月17日~1月19日)
1位『アーサーズ・ウイスキー』(NEW)
2位『小学校~それは小さな社会~』(先週1位↓)
3位『ストップモーション』(NEW)
4位『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』(先週2位↓)
5位『モルグ 屍体消失 デジタルリマスター』(NEW)
1位の『アーサーズ・ウイスキー』は70代の女性3人が不思議なウイスキーを飲んで20代の体を手に入れる設定がおもしろいが、ポイントは精神は70代のままで、体も数時間で元の70代に戻ってしまうところ。しかも、ウイスキーの量は限られているから、無限に飲み続けることはできない。というわけで、3人は自分たちの願望を叶えるために「やりたいことリスト」を作り、一番やりたかったラスベガス旅行を決行する。だが、その旅先で事件が起きて…。普通ではあり得ない幸せを手に入れ、「人生は楽しんだもん勝ち!」とばかりに奔走する彼女たちにいつの間にか自分を重ねて一喜一憂。アカデミー賞女優のダイアン・キートン、テレビと舞台を中心に活躍して50年以上のキャリアを持つパトリシア・ホッジ、シンガーでもあるルルによる絶妙なかけあいも楽しくて、観終わるころには彼女たちが教えてくれる人生にとって大切なことを噛み締めながら心がほっこりしているに違いない。
3位の『ストップモーション』は、短編『Bobby Yeah』で英国アカデミー賞最優秀短編アニメ賞にノミネートされた映像作家ロバート・モーガンの初長編作品。偉大なストップモーションアニメーター、スザンヌ・ブレイクの娘エラ(アシュリン・フランチオージ)は、病で倒れた母親に代わって制作が中断していた作品を完成させようと奮闘する。ところが、偶然知り合った謎の少女の力を借りて作業を進めるうちに、現実と虚構の区別がつかなくなって…。ストップモーションアニメと実写を融合させたダークな世界観が独特の恐怖を立ち上がらせていてゾワゾワするが、それでも目が釘づけになってしまうのが本作のおもしろくて怖いところ。その完成度の高さは、2023年のシッチェス・カタロニア国際映画祭で審査員特別賞に輝いていることでも明らかだろう。
5位の『モルグ 屍体消失 デジタルリマスター』は本国で1994年に公開され、興行収入第1位の大ヒットを記録したデンマーク製のホラー・ムービー。1997年には本作のオーレ・ボールネダル監督が自らユアン・マクレガー主演の『ナイトウォッチ』としてリメイクしたが、オリジナル版の方は日本では1996年に『モルグ』のタイトルで上映されただけ。ソフトもVHSが発売されたのみでDVD化もされていなかったので、噂を聞いて、リバイバルを待ち望んでいたファンも多かったはずだ。法科学生のマーティンはたくさんの死体が並ぶ病院の遺体安置所で夜警のアルバイトを始めるが、同じころ、世間では娼婦ばかりを狙った連続猟奇殺人事件が勃発。マーティンが働く病院にも皮膚を剥ぎ取られた死体が運び込まれてくるようになって……。いったい何が起きているのか? 事件の巻き込まれていくマーティンの妄執と恐怖が、30年の時を超えてスクリーンに浮かび上がる。このチャンスを逃したら、次に鑑賞できるのはいつになるか分からないので、未見の人はぜひ映画館に足を運んで欲しい。
続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ!1月24日(金)に、ルーマニアの若手監督パウル・ネゴエスクが殺人事件をきっかけに暴かれる美しい村の深い闇と人間の恐ろしさを描いた辺境サスペンス『おんどりの鳴く前に』が登場!同日にはホラー映画の鬼才、清水崇監督が総合プロデュースを担当した第2回日本ホラー映画大賞の大賞受賞作『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』も公開。本作は、『リング』の脚本家、高橋洋に師事した新鋭、近藤亮太監督が、弟の失踪にまつわる1本のビデオテープをめぐる恐怖を「CGなし」「特殊メイクなし」「ジャンプスケアなし」といったこだわりの表現で描いた野心作。ホラー作家の重鎮、綾辻行やホラー漫画家の伊藤潤二らも絶賛する、Jホラーの遺伝子を受け継ぐ新時代の才能が放つホラーがどんな旋風を巻き起こすのか?ワクワクが止まらない!
公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。現在、全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、応援したい映画館の魅力を紹介してくれる公式アンバサダーを募集中。自身のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを通じてミニシアターを紹介し、劇場救済に協力してもらおうという試みとなる。応募条件等詳細は公式アンバサダー募集ページをチェック!
文/イソガイマサト