第97回アカデミー賞主演女優賞ノミネート!『ANORA アノーラ』のマイキー・マディソンが語る役作り

第97回アカデミー賞主演女優賞ノミネート!『ANORA アノーラ』のマイキー・マディソンが語る役作り

第97回アカデミー賞ノミネート作品が発表され、作品賞、主演女優賞(マイキー・マディソン)、助演男優賞(ユーリー・ボリソフ)、監督賞、脚本賞、編集賞の6部門にノミネートされた『ANORA アノーラ』(2月28日公開)。このたび主演のマディソンが役作りについて語る本作の特別映像が解禁された。

【写真を見る】アノーラ役でパッションにあふれる体当たり演技を見せたマイキー・マディソン
【写真を見る】アノーラ役でパッションにあふれる体当たり演技を見せたマイキー・マディソン[c]2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

本作は、ニューヨークを舞台に、身分違いの恋という古典的な題材を、21世紀風にリアルに映しだしたアンチ・シンデレラストーリー。昨年2024年に全米で公開されるや否や絶賛の声が相次ぎ、映画批評を集積、集計するサイト「Rotten Tomatoes」では、最高値で批評家たちから99%支持の評価を獲得した。公開規模も5館から1500館に拡大され、映画好きで知られるオバマ元大統領が毎年年末に発表する「今年の映画10本」にも選ばれた話題作だ。

賞レースでは、アカデミー賞のみならず、1月23日現在のべ294部門にノミネートされ、うち101部門で受賞。特に、主演女優にノミネートされたマディソンは、82ノミネート、うち受賞発表済の63の賞で37受賞(アンサンブル演技賞、ブレイクスルー賞含む)と、今回主演女優賞にノミネートされた5人のなかでは現状最多ノミネート最多受賞をはたしている(※ノミネート、受賞数は配給調べ)。今回のアカデミー賞主演女優賞ノミネートを受け、マディソンは、「映画自体にとても感謝してるし、とても幸せ。とにかくいま、本当に浮かれています。いまはただ、この幸せに浸ってかみしめていたい」とノミネートの喜びを語っている。

ロシア人の御曹司、イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)との身分違いの恋を描く
ロシア人の御曹司、イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)との身分違いの恋を描く[c]2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

マディソンは1999年3月25日生まれの25歳。2013年短編映画でデビューし、その後テレビシリーズ「ベター・シングス」での演技で一定の評価を得ていたものの、ドラマシリーズや映画への端役が続いていた。しかし、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)で演じた火炎放射器で黒焦げにされるマンソン・ファミリーのスーザン・アトキンス役と、『スクリーム』(22)で頭に火をつけられるティーン・エイジャー、アンバーの演技が本作のショーン・ベイカー監督の心を鷲づかみに。

劇場で『スクリーム』を観てすぐにマディソンのエージェントに連絡をとったという監督は、コーヒー・ミーティングをセッティング。自身のパートナーでもある本作共同プロデューサーのサマンサ・クワンと飼い犬2匹も同席し、マディソンと初対面した。この段階でまだ脚本もできていなかったが、企画を一通り話すと、マディソンがワクワクしている様子が伝わってきたという。そして彼女ならアノーラというキャラクターに対して徹底的に向き合い、準備をしてくれるだろうと期待、確信した監督は、最初のインスピレーションどおりマディソンを主人公アノーラ役に大抜擢。そしてこのミーティングから約1年後に撮影がスタートするが、マディソンは撮入までの1年間、役柄に関するリサーチやトレーニングはもちろん、積極的に『ANORA アノーラ』の企画に関わり、脚本開発にも協力するなど強固な信頼関係を築いたうえで撮影を迎えたそうだ。

今回解禁されたのは、マディソンがアノーラの役作りについて語るコメントを盛り込んだ特別映像。ストリップダンサーのアノーラを演じるにあたり、ポールダンスやなまりなど、役の外側の準備はもちろん、自らアノーラが住んでいるロシア人街ブライトン・ビーチに住まいを移したり、ストリップ・クラブに通ってダンサーからしきたりを学んだりと、アノーラの内側をも理解して演じるために、時間をかけ、全身全霊でこの役に臨んだことが伝わってくる。本作が映画初主演のマディソンだが、監督からの信頼と期待に十二分に応えたことが伺え、映画がより楽しみになる内容となっている。

『ANORA アノーラ』は2月28日(金)より公開
『ANORA アノーラ』は2月28日(金)より公開[c]2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

『ANORA アノーラ』は、自らの幸せを勝ち取ろうと全力で奮闘するロシア系アメリカ人の若きストリップダンサー、アノーラの等身大の生きざまを丁寧かつユーモラスに描写し、清濁合わせ呑む人間らしさにあふれている。セックス、美、富というパワーゲームのなかで利用されながらも、自らの幸せを求め続ける人間たちへの賛歌を、ユーモアを交えながら真摯な眼差しで描きだした快作だ。


定石通りのシンデレラストーリーのその先を描いた『ANORA アノーラ』。逆境に立ち向かう強気でセクシーなアノーラに、きっと誰もが勇気づけられ、元気をもらえるはずだ。

文/山崎伸子

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