ホロコーストを生き延びた建築家の光と影の30年…『ブルータリスト』本予告、本ポスタービジュアルが解禁
先日発表された第97回アカデミー賞のノミネーションにおいて、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞など計10部門に選ばれた『ブルータリスト』(2月21日公開)。本作より、本予告、本ポスタービジュアルが解禁となった。
本作は、第二次世界大戦下にホロコーストを生き延び、アメリカへと渡った、ハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トートの30年にわたる数奇な半生を、監督&脚本を務めた36歳の気鋭ブラディ・コーベットが描きだした、215分にわたる壮大な人間ドラマ。
才能にあふれるハンガリー系ユダヤ人建築家のラースロー(エイドリアン・ブロディ)は、第二次世界大戦下のホロコーストから生き延びたものの、妻エルジェーベト(フェリシティ・ジョーンズ)、姪ジョーフィア(ラフィー・キャシディ)と強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるため、アメリカのペンシルベニアへと移住したラースローは、そこで裕福で著名な実業家ハリソン(ガイ・ピアース)と出会う。ラースローのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、彼の才能を認め、家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築を依頼する。しかし、母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には多くの障害が立ちはだかる。
今回解禁されたのは、もだえながらも、生き、切り拓く、主人公の数奇な人生の瞬間を捉えた本予告映像。ホロコーストから生き延び、希望を抱いてアメリカに移住したラースロー。才能ある建築家だったにもかかわらず日雇い労働に身を投じる日々を過ごしていたが、実業家ハリソンが偶然ラースローのそれまでに携わった業績を知ったことで、彼の人生は大きく動きだしていく。不安と希望が入り乱れた表情で電車に乗る姿、アメリカで再会した従兄弟との束の間の休息や別れ、そして数々の建築物と“自由の女神”に象徴されるアメリカの風景。「狂気に飲み込まれないで」、「約束するよ」など、ラースローと妻が交わす言葉を体現するかのような映像になっている。
本ポスターは、荒々しく、無骨と評されることも多いブルータリズム建築を思わせるデザインのなか、ラースローとその妻エルジェーベト、ラースローを支援するハリソンら3人の姿を捉えたもの。ラースローが人生を賭けて取り組む“建築”をさらに印象付けるような“溶接の火花”が散るなか、三者三様の思惑が滲みでてくるような印象の佇まいに、「荒ぶる、たぎる」という印象的なキャッチコピーも添えられている。ラースローを中心に巡る彼らの数奇な人生そのものを表したようなビジュアルだ。
映画批評を集積、集計するサイト「Rotten Tomatoes」で批評家97%(2024年11月時点)という高スコアを叩きだしており、「エイドリアン・ブロディによる魂の演技と、監督、脚本のブラディ・コーベットにより完璧にデザインされた『ブルータリスト』は、移民体験に対する壮大なトリビュートだ」と総評。また、イギリスの大手新聞The Guardianも本作を5つ星とし、「素晴らしい!夢中にさせる大作」と絶賛レビューを送っている。
アメリカンドリームを夢見たラースローの運命、そして家族との再会は叶うのか?主演を務めたエイドリアン・ブロディらキャスト陣による渾身の演技にも注目してほしい。
文/平尾嘉浩