細田守、押山清高、藤本タツキも絶賛!アカデミー賞最有力『Flow』にクリエイターからのコメントが続々

細田守、押山清高、藤本タツキも絶賛!アカデミー賞最有力『Flow』にクリエイターからのコメントが続々

<コメント>

●細田守(アニメーション映画監督)

「物言わぬ動物たちが危機に瀕して奮闘するスリリングな逞しい姿に、命のきらめきと尊厳を見る。その瞳に込められた音なき言葉を、息を殺して聴け」

●押山清高(アニメーション監督)

「映画は、観る人を乗せる小舟だ。猫に化けたギンツ監督の視点で、どこか人間社会を見ているような没入感がある。それが、愛らしい動物たちの姿で描かれるから、人間は未熟でか弱く健気で、そして、大きな流れの中で色鮮やかに生かされている事に気づかされるのだ」

●藤本タツキ(漫画家)

「多分クリエイターならみんな、ずっとこういう作品を作りたかったと思います。少なくとも僕は思っていました。言葉が少なく、でもエモーショナルな物語はちゃんとあるものに憧れがありましたが『Flow』はその100点みたいな作品でした。見ている途中ずっとこれを作りたかったという気持ちと、猫たちに早くゴハンを食べさせてあげて!と夢中で観ていました」

●斎藤工(俳優、映画監督)

「孤独、孤立、分断、差別、飢餓、天災、我々人間界の様々な問題が、人間の居なくなった世界の、動物やあらゆる生命体のあり方がその答えをくれる。言語や国籍を超え、全ての人類に捧げられたギンツ監督からの美しく愛らしくも鋭利なラブレター」

●小島秀夫(ゲームクリエイター)

「これがアニメとCG映画の流れ(FLOW)が辿り着く、一つの到達点だ。動物たちは擬人化されず、台詞もない。ところが、芸術的で、哲学的で、どこまでも社会派なのだ。ただの客寄せ動物映画と侮ってはいけない。本作は、21世紀に流され、漂流する我々人類のFlowchart(フローチャート)そのものだ」

●ヒグチユウコ(画家)

「成猫になるまえの少し小柄な猫。彼の目に映る雄大な自然。そして天災。美しい不思議なこの映画は勧善懲悪でもなく共に方舟に乗って鑑賞している私をうっとりとした世界に導いてくれました」

●吉浦康裕(アニメーション監督)

「美しく描きだされたポストアポカリプスな世界を旅するネコチャンたち…をひたすらカメラで追い続ける85分間。ただそれだけなのに、最後の最後まで目が離せない!映画『Flow』は、想像により描き出された世界やキャラクターが確かにそこに存在するという根源的な楽しさに満ちた快作です」

●久野遥子(アニメーション作家、映画監督)

「なんて大きい世界なんだろう。猫の目を通せばウサギだって大きいくらいなのに、こんなに巨大で美しい世界が変貌を止めないことが恐ろしい。崩れゆく世界で人間なんかじゃ到底辿り着けないようなところまで連れ去られる。猫はそんなつもりはないよと言うかもしれないけど」

●浅野いにお(漫画家)

「息を呑む美麗な水の表現に畏れを抱き、やがて波のように押し寄せてくる感情に圧倒される。言葉がないからこそ伝わるものがあり、私たちはそれを掬い取らなければならない。日常の中で忘れかけていた『生命』を感じる映画です」

●loundraw(イラストレーター、アニメーション監督)

「私たちも、予期せぬ冒険の最中にいるのかもしれません。正しい方角もわからず、けれど常にどこかへと向かっている。そうしてやがて、自分が何者かを知っていきます。これは猫の物語ですが、大いなる流れの中にいる人間として、創作者として、この作品がくれた世界を大切にしたいと思います」

●アルトゥル(日本推しラトビア人)

「映像の美しさ、動物たちのリアルな動きの再現にはもちろん、主人公の猫やほかの動物たちの鳴き声、仕草、表情だけで個性や感情がリアルに伝わってくる、その表現力に驚かされました。恐怖や物欲等を抱えた主人公たちが成長する姿を言葉を一切使わず伝えられる、素晴らしい作品です」

●ぬまがさワタリ(いきものクリエイター)

「都合のよい擬人化を極限まで廃し、それでいて愛らしくユーモラスに、生命みなぎる動物たちの冒険を活写する。気候危機や絶滅といった恐るべき『現実(リアル)』が迫るいま、本作のように現実の動物や自然への想像力を飛躍させる、新時代のファンタジーアニメが必要だ」

●伊藤さとり(映画パーソナリティ、映画評論家)

「絵画のようで可愛らしい。アニメなのに本物の動きで、手に取るように感情が分かる摩訶不思議。観たら間違いなくもう一度体験したくなる世界への冒険だった。なんなのだろうこのトキメキは。言うなれば、アニメの枠からはみ出る芸術体験に、ずっと夢中という感覚かもしれない」


文/平尾嘉浩

作品情報へ