なにをシンデレラとするかは自分自身!玉城ティナが『ANORA アノーラ』の魅力を語る
第97回アカデミー賞にて作品賞をはじめ、主演女優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、編集賞の6部門にノミネートされた『ANORA アノーラ』(2月28日公開)。本作の魅力を玉城ティナが語るインタビュー映像が解禁となった。
本作はニューヨークを舞台に身分違いの恋という古典的な題材を21世紀風にリアルに映しだしたアンチ・シンデレラストーリー。幾度となくアメリカ社会の「声なき声」をすくい上げ評価されてきたショーン・ベイカー監督が、自らの幸せを勝ち取ろうと全力で奮闘するロシア系アメリカ人の若きストリップダンサー、アノーラ(マイキー・マディソン)の等身大の生きざまを丁寧かつユーモラスに描写し、清濁合わせ呑む人間らしさにあふれた作品に作り上げた。
ベイカー監督の大ファンで作品を何本も観ているという玉城。監督はこれまでマイノリティと言われる市井の人にフォーカスして映画を撮り続けており、本作もニューヨークのストリップダンサーが主人公。玉城曰く、「ベイカー監督の作品は社会的な問題点がたくさん散りばめられているが、その当事者たちの目線を変にフィルターをかけていないところが魅力」だという。「『ANORA アノーラ』にもらしさがそこかしこに散りばめられていて、なおかつ女性を“綺麗”に撮るというより、“魅力的”に撮る監督」だと思ったそうだ。
そんなベイカー監督が今作で主人公アノーラに用意したのは、大金持ちの御曹司と恋に落ち結婚するという絵にかいたようなシンデレラストーリー。しかしもちろん、現代版シンデレラ、アノーラの運命はセオリー通りのハッピーエンドでは終わらず、思いもかけない方向に転がっていくことになる。そんな不測の事態に孤軍奮闘するアノーラを応援したくなったという玉城は、「女の子が絶対好きだろうなっていうヒロインの形。シンデレラのイメージに統一されたものがあまりないというか、なにをシンデレラとするかっていうのは自分自身。という風潮になっていると思うので、そこにもとても寄り添っているんじゃないかな」と、時代や社会の変化にも触れ、“なにが幸せ=シンデレラなのかは自分次第”という現代の価値観にも受け入れられるヒロイン像だと太鼓判を押している。
なお、ラスベガスでの結婚シーンが幸せそうで良かったという玉城は、自身が結婚したことで結婚に対するイメージが変わったか?という質問に対し、「変わった」と即答。「結婚自体を『なんか仰々しいシステムなんじゃないの?』とあまり自分には関係のないものとして捉えていたけど、してみると意外と生活っていうものは続いていく。生活の自分1人で持つ割合みたいなものが、単位が変わるみたいなぐらいだったので、そこまで重く捉えずに結婚したのがよかったのかもしれません」と、従来の価値観に捉われない、玉城ティナ流の地に足の着いた見解を述べた。
玉城が「ファーストカットから、あの最後に行き着くっていうのもすごく面白いなと思った」という『ANORA アノーラ』。現代のアンチ・シンデレラストーリーには、いったいどんな結末が待っているのか。予想のはるか斜め上をいく、心を鷲掴みにされるラストをぜひ映画館で確認して欲しい。