なにをシンデレラとするかは自分自身!玉城ティナが『ANORA アノーラ』の魅力を語る
<コメント>
●玉城ティナ
――ショーン・ベイカー監督作品の魅力は?
「(世間に問題点を)投げかけるだったりとか、『みなさんはこれをどう思いますか!?』みたいな感じではなくて、(当事者)その人たちの生活だったり、出演されている方の目線が、フィルターが変にかかってないというか、そういう面白さがあるなと感じますし、徹底してますよね。本当に」
――今回にショーン・ベイカー監督らしさは?
「もう感じまくりじゃないですかね。そこかしこに散りばめられてるなと思いましたし、やっぱり女性を“綺麗”に撮るっていうより本当に“魅力的”に取る監督だなと思います」
――アノーラについて。
「かわいらしいし、なんかもっともっとやれ~!みたいな感じで応援したくなりましたし、女の子絶対好きだろうなっていう、ヒロインの形だなと思いました。アンチ・シンデレラストーリーのその“シンデレラ”のイメージっていうのが、多分この時代、統一したものがあまりないというか、なにをシンデレラとするかは自分自身。みたいな風潮になってると思うので、そこにもとても寄り添っているんじゃないかなと思いました。とにかくファッションだったりメイクだったりも、見ていて飽きなかったですね」
――アノーラは魅力的な女性でしたか?
「はい、魅力的ですし、監督の作品では、セックスワーカーだったりとか、そういう人たちを描くっていうのが多いと思うんですけど、なんか彼女たちを悲しげに描く、悲壮的に描くのではなく、なんか本当に女性たちの体から出てくるパワーみたいなものもすごく感じましたし、あの最初のファーストカットから始まって、あの最後に行き着くっていうのもすごく面白いなと思いました」
――1番好きなシーンについて。
「やっぱりラスベガスのシーンかな。この映画を象徴してると思います。やっぱり1回目のラスベガス(のシーン)と2回目のラスベガス(のシーン)で全然映画のトーンが違うっていうのもありますし、ポスターにもなってますけど、なんかお姫様抱っことか、私たち結婚したんですみたいなあの2人の幸せそうなところは、『もうこの映画2時間超えてるから絶対この後なにかあるじゃん!』って思ってたんですけど、そういうところも含めて、良かったですね。2人の幸せそうな場面っていうのは全体で見ると少ないので、この場面いいなと思いました。なにかさらっと指輪とか買ってるのも良かったですね」
――結婚する前と後で結婚に対するイメージは変わりましたか?
「変わりましたね、結構。結婚っていうもの自体を、なんか仰々しいシステムなんじゃないの?みたいなふうに捉えていたというか、あまり自分には関係のないものとして捉えてたんですけど、してみると意外と生活っていうものは続いていくなみたいな。生活の自分1人で持つ割合みたいなものが、単位が変わるみたいなぐらいだったので、そこまで重く捉えずに結婚したのがよかったのかもしれません」
文/平尾嘉浩