水川かたまり初主演映画『死に損なった男』が公開!今後の役者業に意欲&監督は「早い話、天才」と絶賛
お笑いコンビ「空気階段」の水川かたまりが映画初主演を務めた『死に損なった男』の初日舞台挨拶が2月21日に新宿バルト9で行われ、水川をはじめ、正名僕蔵、唐田えりか、喜矢武豊、堀未央奈、田中征爾監督が出席。全登壇者にサプライズで水川の相方、鈴木もぐらも駆けつけ、人生初となる水川への手紙を読み上げた。
本作の主人公となるのは、お笑いの道に憧れ、夢が叶った半ば、殺伐とした社会と報われない日々に疲弊していた構成作家の関谷一平(水川)。一平は駅のホームから飛び降りることを決意するが、隣の駅で人身事故が発生。タイミング悪く死に損なった一平の前に男の幽霊が現れ、幽霊に取り憑かれた彼が数奇な運命を辿るさまを描く。
ステージに上がった水川は「こーんにーちはー!」と挨拶。「3月2日にハリウッドの方でアカデミー賞の授賞式があるということで。スケジュールを空けています。アカデミー賞ください!」と俳優としてアピールして舞台挨拶がスタートした。さらに水川は「普段コントを考えたりするので、もしこの設定を自分が思いついていたらガッツポーズだなと思った」と映画の設定に惚れ惚れ。さらに「もし自分の子どもが思いついていたら」ともしも話を続け、「頭をガシガシ撫でていた。監督は大人なので撫でなかったですが、すごくいい設定」と続けると、田中監督は「うれしいです。ありがとうございます」と喜びをにじませていた。
映画初主演を務めた水川だが、「自分がずっと映っているなというのが気になって、集中できなかった。最初に観た時は楽しくなかった」と完成作を観て恥ずかしさもあった様子。一平に取り憑く幽霊の森口友宏を演じた正名も「これだけ出番があるのは初めて」だそうで、「お互いに『恥ずかしいもんですね』と話していた」と意気投合。そして友宏の娘である森口綾役を演じるのが、唐田だ。Netflixシリーズ「極悪女王」で伝説の女子プロレスラー、長与千種役を演じたことも話題になった唐田だが、「『極悪女王』で体重を10キロ増やしていて。その2、3か月後にこの現場だったので、体重を早く戻さなければというのと、髪も刈られたあとだったので、ウィッグでの撮影がちゃんと馴染んでいるかなと。ヨガのインストラクター役で、ヨガのウェアのシーンがあります。筋肉が逞しすぎないかなという心配はありました」と裏話を口にしていた。
元DV夫の若松克敏に扮したのが、ヴィジュアル系エアーバンド「ゴールデンボンバー」の喜矢武で、「僕は普段、ゴールデンボンバーではDVされるほう。メンバーにもいじめられるし、熱湯風呂にも突き落とされるし、水車に縛り付けられて水攻めとかにされる側。初めてこっち側に立てた」と新境地だと強調。「DV頑張るぞ!という感じだったんですが、相手が極悪女王だったので…。勝てそうにもないなと思った」と肩を落として会場を笑わせた。関谷の同僚である竹下希役の堀は、撮影時に緊張してしまう瞬間もあったというが「かたまりさんが、ずっとかたまりさんでいてくださる。一平さんとかたまりさんがほぼ一緒。そのおかげで、リラックスして肩の力を抜いて演じることができた」と大いに助けられたと感謝を伝えていた。
また田中監督が「早い話、本当に天才だと思います」と水川の俳優力を絶賛する場面もあった。「監督から見て、声や顔というのが、演技のうまい下手とはまた別の軸で『映画的かどうか』というのがあって。僕は物語がある顔が好きなんですが、かたまりさんは物語のある顔をしているし、そこにセンスといい声と技術もあるから、これから映画俳優としてオファーがめっちゃくると思います」と称えると、水川は「初めての映画の現場。なにもわからないままやっていたので、皆さんに助けていただいた」とお礼を述べつつ、「ぜひともやっていきたい」と今後の俳優業にも意欲をのぞかせていた。
舞台挨拶終盤には、水川の相方、鈴木もぐらがサプライズで参戦。登壇者陣が驚くなか、水川は「1時間半前くらいに、マネージャーが『もぐらさんが来た時、どうしますか。あっ…!』って。いつ来るんだろうと思っていました」とネタバレをしてしまったマネージャーが動揺していたとぶっちゃけ。サプライズ失敗となったが、鈴木は「マネージャー、ギャルなんで。許してあげてください」と釈明して会場も大笑い。この日の鈴木は“もぐらの友だち”という設定のキャラクターでやってきたそうで、「預かったお手紙がある。読ませていただこうと思います」と自分の手紙をステージで“代読”することになった。
手紙では「『死に損なった男』の完成、公開、誠におめでとうございます!」とお祝いの言葉に始まり、大好きな映画『バトル・ロワイアル』のような内容だと予想、考察していたものの「いい意味ですべて裏切られました。すばらしい映画を観劇させていただきまして、ありがとうございました!」と映画も堪能したことが綴られていた。「この映画で見事に初主演を果たした、親から仕送りを総額一千万以上もらっているかたまりくん。おめでとう!彼を支えてくださった監督、技術さん、プロの俳優陣の方々、誠にありがとうございました。ここに敬意を表します」と締めくくりつつ、「上白石カフェモカ」と最後にこの日のキャラ設定の名前を読み上げると、会場も大笑い。サプライズ手紙の感想を聞かれた水川が「なんとも思いませんでした」と応じると、さらに会場は大爆笑だった。
取材・文/成田おり枝