山崎賢人が主役の貫禄を見せつける!『氷菓』撮影現場レポート
人気作家・米澤穂信原作のデビュー作で、累計発行部数230万部を超える青春学園ミステリー<古典部>シリーズの記念すべき第1作目を映画化した『氷菓』が、いよいよ11月3日(金・祝)より全国ロードショーされる。
『バイロケーション』(14)や『劇場版 零〜ゼロ〜』(14)などで知られる安里麻里監督のもとに、山崎賢人、広瀬アリス、小島藤子、岡山天音といった今をときめく若手実力派俳優が集結。古典部に代々伝わる文集「氷菓」に導かれ、失われた記憶と学園に隠された秘密に迫っていく本作の、メイキング画像と撮影レポートをお届けする。
折木奉太郎は「やらなくていいことはやらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーとする“省エネ主義”の高校生。姉からの頼みで、廃部寸前の古典部に入部することになった彼の前に、お嬢様・千反田えるが現れる。「私、気になります!」と大きな目を輝かせる彼女に振り回され、様々な謎を持ち前の推理力で解き明かしていく奉太郎。そんな彼に、えるは「10年前に失踪した叔父に言われた言葉が思い出させてほしい」と頼む。それは、33年前に学園で起きたある事件へと繋がる壮大なミステリーの幕開けだった。
昨年3月から約1か月間行われた撮影では、毎シーンごとに徹底的なリハーサルが重ねられた。「キャラクターが強いので、撮影前に掴んでおきたい」と語った安里監督は、奉太郎の喋り方をどの程度ぶっきらぼうにするのか、えるの「私、気になります!」の表現や奉太郎への詰め寄り方、そして古典部員4人が並んだときのバランスの取り方などを重点的に確認。「このキャラならどういう風にやるか、座り方や制服の着こなし方まで、みんなで話し合いながら決めて行った」と振り返る。
安里監督と山崎は『リアル鬼ごっこ3』(12)以来、約5年ぶりのタッグとなった。当時ブレイク前の17歳だった山崎と、今の山崎を比べて「人の良さそうなところはまったく変わっていない」と振り返った監督は「メンタルが強くて、現場がピリピリしていても動じないし、落ち込んで周りに影響を及ぼすこともなく、逆にみんなを笑顔にさせる。また一緒に仕事したいと思わせる俳優さんです」と、すっかり主演俳優として作品を背負うまでに成長した山崎を絶賛した。
しかも、撮影中には山崎自らが折木奉太郎というキャラクターについての細かなアイデアを積極的に発信する姿が数多く見られ、彼の提案が演出に反映されたシーンもあるとのこと。これは彼のファンならば発見したいことだろう。
一方、広瀬についても「感情的な芝居の際には、圧倒的な迫力にスタッフが飲み込まれてしまった」と、その実力を裏付けるエピソードが明かされた。山崎と広瀬は5年前にテレビドラマで初共演を果たしてから久々の共演。さらに、プライベートでも山崎と親友同士の岡山は、息のあったコンビネーションで奉太郎と里志の絶妙な空気感を見事に体現。そして<古典部>シリーズの大ファンだという小島は、自ら演じた摩耶花を推しキャラに挙げるだけあって、深い愛情を込めながら役を演じ切ったのだ。
親しい間柄のキャスト陣が切磋琢磨し築き上げた撮影現場は、まさに“若手俳優競演”と呼ぶにふさわしい結果となり、作品へ見事に還元されている。彼らが織りなす好演には、キャストそれぞれのファンはもちろんのこと、目の肥えた映画ファンも満足するに違いない。【文/久保田和馬】