全米話題作『IT』出演の若手イケメン俳優、ビル・スカルスガルドがピエロの悪夢に苦しむ!?
スティーヴン・キング原作の小説が基になった新作ホラー映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(日本公開11月3日)の主演俳優ビル・スカルスガルドの演技が、公開前にもかかわらず、大きな注目を集めている。本作は1989年、米国の架空の街デリーで、27年ごとに街の子供達を襲う殺人ピエロ、ペニーワイズの恐怖に立ち向かう7人の子供達を描く。
ペニーワイズは、アメリカでは『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーや、『13日の金曜日』のジェイソンに同等するほどホラー界では認知度が高いキャラクターだ。今回ペニーワイズ役に抜擢された、27歳のスウェーデン人俳優ビル・スカルスガルド。父は名優ステラン・スカルスガルド、兄はアレクサンダー・スカルスガルドとグスタフ・スカルスガルドという俳優一家の出身。Netflixのドラマ「ヘムロック・グローヴ」のローマン役でも有名で、今ハリウッドで注目されている若手俳優だ。
今回、ロサンゼルスでビル・スカルスガルドが直接インタビューに応じてくれた。彼は期待の寄せられるホラー界屈指のキャラクターを演じるにあたり、まさに全身全霊を注いだと言う。
「ずっと演じたいと願っていたこの役柄を獲得した後も、演じきれるかどうかという不安はたくさんあったよ。だから小説を隈無く読んで、知的にペニーワイズを分析することに没頭したんだ。小説の下りでペニーワイズの役作りに役立つ部分は、全てマークをつけて、書き写した。スティーヴン・キングは、小説の中でペニーワイズの声に関して多様な言葉で表現している。だからこの映画の中でもペニーワイズの声のトーンに変化を持たせたかった。あらゆるクレイジーな声を試して、すべての要素を混ぜ込んだ僕なりのペニーワイズの声をつくり出したよ」。
彼は声だけでなく、目の動きや身体の動かし方など、慎重にペニーワイズを作りあげたと言う。映画の中である、左右の目をバラバラに動かすシーンは、CGではなく彼自身の技なのだそうだ。身長193センチ、すらっとしたモデルのような体型に、飛び抜けて大きい瞳を光らせ熱心に質問に答える様子は、狂気に満ちた殺人ピエロを演じた俳優とは信じられない程の好印象を受ける。実はペニーワイズを演じた彼自身も、出演後ピエロの悪夢に苦しまされたそうだ。
「この役柄に挑んだ3か月間は、僕はペニーワイズと結婚していたのと同じだよ(笑)。誰よりも、何よりも僕が考えていたのはペニーワイズの事だった。僕にとって、演技をする時はその役柄と交際したように感じる。交際中はのめり込んでしまっていて、どんなに悪い相手でも自分では気づかないのと同じで、抜け出してからやっと客観的に自分を取り戻す事ができるんだ。ペニーワイズを演じた時も同じだったよ。撮影を終え、ヘアメイクを落とし、僕はすぐにストックホルムの実家に帰ったんだが、育った家で母とコーヒーを飲んでいる時にはっと我に返ったのを覚えているよ。『あの3か月間は本当の出来事だったのか?』ってね」。
「そしてその後2週間、僕は毎晩強烈なペニーワイズの夢を見続けたんだ。ペニーワイズに遭遇した夢や、僕自身がペニーワイズになっている夢だった。これは撮影が終わった後も僕の意識にペニーワイズがしがみついて、離れたがらなかった証拠だね。僕にとってもどんな役柄であれ別れはとても寂しいものなんだ。だからこの経験も今思い返せば大切な思い出だよ」。【取材・文/小池かおる】