山田孝之がデラックスファイターの〇×△を絶賛!FROGMANと『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』を語らう!?
バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンといった世界的人気ヒーローを生んだ“DCコミックス”が、何を血迷ったか(!?)日本の低予算アニメ(しかも主人公は悪役)「秘密結社 鷹の爪」とコラボしてしまった映画『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』(公開中)。同作の監督・脚本・原案を手掛け、声優も兼ねるFROGMANと、バットマン役で声優を務めた山田孝之に直撃した。
低いテンションだけじゃない?バットマンの意外な姿も好演
山田が「鷹の爪」参戦!と聞いて、「勇者ヨシヒコ」シリーズやPlay Station4のTVCMなどユーモア溢れる彼の演技は、あのユルく笑えるflashアニメの世界にドンピシャ!そう思った人も多いのでは?そんなノリでオファーしてしまったのか?FROGMANに尋ねると「一緒にお仕事したい役者さんの筆頭が山田さんだったんです」と至って真摯な回答が。
FROGMAN「『鷹の爪』のプロデューサーが山田さんとも繋がっていて、ダメ元でオファーさせていただいたんです。『鷹の爪』なんて出てくれっこないよね?と…」
山田「(苦笑)。そんなことないですよ。『鷹の爪』のことは知っていて、企画もおもしろそうだし、嬉しかったです。しかもバットマン役でしたから」
FROGMAN「『バットマンが好きらしい』と伺っていたので、それで釣って…ではなく、この機会にぜひご一緒できたらと思いました。今回の山田さん、バットマンの画に本当にしっくりはまる声で演じていただけました」
山田「基本的に(バットマンの声は)低くガサガサで、テンションもずっと同じ演技なんですけどね」
FROGMAN「でも、ちょっとだけ遊んでいただけるシーンがありまして。総統たちがタイムマシンで過去にさかのぼって、バットマン=ブルース・ウェインのトラウマを解消した結果、ブルースがマザコンや某大統領(のパロディ)風に成長しちゃうんですけど、そのときは山田さんにお任せで演じていただきました」
山田「(昼食に中華料理を食べたいから)『中国もってこい!』なんて、そう言えるセリフではないですしね。アフレコは、画が完成する前でしたので、ああいう感じで良かったのかわかりませんけど」
FROGMAN「いえいえ。この作品は役者のみなさんの声に合わせて作画させていただいたので。むしろ山田さんの演技でイメージが膨れ上がりました。ほかにも『素っ裸!サイコー!というセリフのシーンがあるのですが、山田さんの叫びっぷりが突き抜けていて、シーン自体の画も思いきりよくお尻を出していますから」
山田「僕の叫びがきっかけで、ああいう感じに描かれているんですか(笑)」
FROGMAN「畳一畳ほどの部屋で、ガサガサな声でアフレコしていただきましたけど、山田さんにも叫んでいただいて、言いにくいことも言っていただいて攻めた作品に仕上がったと思います」
FROGMANが惹かれた山田の出演映画とは?
そもそもFROGMANが役者として山田に注目し始めたきっかけは何だったのだろう?
FROGMAN「山田さんが出演されているドラマや映画はよく拝見させていただいて。なかでも『のぼうの城』(12)での大谷吉継役が、狂言師や舞台俳優、コメディアンといった強烈なバラエティ性に富んだ共演陣にも負けない、キャラ立ちした演技でとても印象的だったんですよね」
山田「ありがとうございます」
FROGMAN「8月に放送された番組(「NHKスペシャル 戦後ゼロ年 東京ブラックホール 1945-1946」)も見ました。その際の山田さんのナレーションも素晴らしかったです」
山田「あの番組も見ていただいたんですか」
FROGMAN「ええ、とてもいい声でした。もちろんバットマンの声も良かったですけど」
山田「今回のバットマン役は、なんといえばいいか、オファーいただいた時点で自分にどんな声で、どんな演技が求められているのか、スッと理解できた気がして。そのイメージで演じました」
FROGMAN「低く、落ち着いて、それでいて力強い感じでした。山田さんは『勇者ヨシヒコ』シリーズみたいなコミカルな役から『闇金ウシジマくん』のようなクールでダークな存在感まで出せる、役者として抜きんでている方だな…と思います」
山田を魅了したFROGMANの棒読みとは?
それにしても、10年前に誕生したflashアニメが映画化、さまざまなコラボを経て、ハリウッドの巨大コンテンツとコラボするに至るとは…。夢のような展開についてFROGMANはどう思っているのだろう?
FROGMAN「個人のクリエイターとして…だったら、ここまで続けて来られたか正直わかりません。(制作元・DLE在籍の)会社員なので、会社の方針に従って仕事して、(作品を)作り続けて、気付いたらここまで来ていたという感じでもありますね(笑)」
そんな会社員クリエイター・FROGMANのマルチな活躍ぶりについて、最近は映画のプロデュースなどにも携わっている山田はどう感じているのだろう?
山田「そういう(製作者的な)部分ではわかりません。でも(声の)演技がすごいです。特に、デラックスファイターの演技がいいんですよ。あの“棒読みっぷり”は演じようとして真似できるものじゃないです。あの投げ出したような感覚を自然体で醸している感じが、とても気に入っています」
FROGMAN「そ、そこですか(笑)」
山田「でもflashアニメがどう作られるのか、垣間見ることができて貴重な体験でした。またいつか出演の機会があればと」
FROGMAN「予算も限られたシリーズなので、おいそれとは(笑)。ですが真面目な話、本当にここぞというタイミングにお願いできて良かったです。ぜひ映画館で笑っていただけたらと思いますね」【取材・文/トライワークス】