ウォン・カーウァイ監督、Amazon製作の「Tong Wars(原題)」でテレビドラマ監督に踏み切った理由を語る
ウディ・アレン監督やスティーヴン・ソダーバーグ監督など、多くの映画監督がテレビドラマの製作に取り組むなか、『恋する惑星』(94)や『花様年華』(00)などで知られる香港の映画監督、ウォン・カーウァイも、Amazonで配信される最新ドラマ「Tong Wars(原題)」を監督することが決まっている。
製作が決定してから本作の詳細は発表されていなかったが、10月にフランスのリュミエール映画祭に参加したカーウァイ監督は、Amazonで同ドラマ製作をすることを決断したことに関して言及したと米映画評論サイトIndieWireが報じている。
米国へ渡った中国人移民の体験を主観的に描く本作の“稀な試み”に惹かれたと言うカーウァイ監督は、1905年に始まり1971年に完結すると言う長い期間を舞台にしたこの作品を描くには、テレビシリーズが最適だったのだと言う。
監督は「テレビドラマが今後映画界との競争に発展すると心配する声があるのは分かるが、私はそうは思わない」とコメント。詠春拳の達人イップ・マンを描いた2013年の映画『グランド・マスター』を米国で公開した際はオリジナルよりも20分以上短縮された経験から、カーウァイ監督は「映画には長さの制限があるが、テレビドラマの形式は製作者にとってこのドラマのような長いストーリーを描くことを可能にしてくれる」と語った。
Amazonのドラマ製作に踏み切ったとはいえ、もちろん映画の製作も続けているカーウァイ監督は「Tonng Wars(原題)」と同時に、金宇澄(きん うちょう)の長編小説「繁花」(日本語訳題「咲き乱れる花」)の映画化も進めている。【文/小池かおる】
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